◆ルトワック『戦争にチャンスを与えよ』を読み解く

 

◆ルトワック『戦争にチャンスを与えよ』を読み解く
(奥山真司氏・翻訳)

※要旨

・戦争は平和をもたらすためにある。

・外部の介入によって戦争を凍結すれば、
かえって戦争が長引いてしまう。
これが私の論文の主張であり、これは難民問題でも同様だ。

・介入主義とは、現代の大いなる病だ。

・とりあえず介入するだけの力を持つ国の首脳が、
人道主義の美名のもとに、遠隔地のほとんど知識もない地域の紛争に
安易に介入すれば、たとえ善意にもとづく介入でも、
結局は、甚大な被害をもたらしてしまう。
すべての責任は、彼らの無知にある。

・米国はイラクの経験から何も学ばなかった。
イラク侵攻は、つい最近の2003年の出来事だ、ということである。
彼らは、そこから何も学ばず、

再びリビアで同じ失敗を繰り返したのだ。
既存の体制を破壊するだけで、後には、
無政府状態と内戦だけが残されたのである。

・「無関心で安易な介入」が戦争を長期化させる。

・難民支援が難民を永続化させる。

・介入主義的なNGOの活動を制限するのは不可能だろう。
しかし各国政府は、少なくとも公式には、
彼らを支持したり、財政的に支援したりすべきではない。

・このような主張は、一見すると極めて非常識なものに見えるが、
実は、戦争の「パラドキシカル・ロジック(逆説的論理)」の根本的な把握や、
戦争の唯一有益な機能は、
「平和をもたらすこと」にあり、
それを邪魔せずに機能させる必要がある、
という確かな認識に基づいているのだ。

・最初に申し上げなければならないのは、
残念ながら、先日の安倍総理と私の会談内容については
守秘義務があり、いっさいお話しすることはできないということだ。

ただ、これだけは言える。
私が見たところ、安倍総理はまれに見る戦略家だ。

・日本がアメリカやロシア、そして他の国々とも
友好的な関係を保っていること自体が、
最大のリスクヘッジとなっている。
それが、私が安倍首相をまれに見る戦略家と呼ぶ所以である。

・中国は、隣国を完全に見誤る伝統を持っている。
2014年に起きたベトナム沖の海底油田をめぐる事件が典型だ。
当時の中国は、船の数で圧倒すれば、ベトナム側は引き下がる、と考えた。

・ベトナム側が態度で示したのは、
「これは子供の遊びではない、戦争だ」
ということだ。

ベトナム国内にいる中国人を見境なく攻撃し、
いざとなれば雲南省にも攻め込むぞ、
という意志をベトナム人は見せつけたのである。

・ベトナムの歴史を思い浮かべれば、すぐに分かることだ。
彼らは、大国に決して屈しない。
中国に抵抗し、フランスに抵抗し、アメリカに抵抗し、
再び中国に抵抗しているのだ。

・戦略の規律が教えるのは、
「『まあ大丈夫だろう』という選択肢には頼るな」
ということだ。

なぜなら、それに頼ってしまうことで、
平和が戦争を生み出してしまうからだ。

・戦略のポイントは、
「戦略の世界では矛盾や逆説だけが効果を発揮する」
ということである。

・我々は、家の中で
「両親や妻に対して戦略を使え」
とは教わっていない。

妻に黙って奇襲をかけて、驚かせたり狼狽させることは、
普通はしないものだ。

・ところが「戦略の世界」では、
まさにこのようなことが奨励される。
常に奇襲が狙われるのだ。

奇襲を受けた側は、まったく準備ができていない状態で
寝首をかかれることになる。

・いったん奇襲が成功すれば、仕事がやりやすくなる。

・イギリスの「忍耐力」。
1900年代前後から始まったドイツの艦隊建造に対して、
当時のイギリスのエリートたちは、どう対処したか。

まず冷酷な頭脳を働かせて、
「帝国的なドイツを破壊すべきだ」
と決断したのである。

・では具体的に何をしたか。
アメリカは、イギリスにとって野蛮で厄介な独立主義者であった。

それでも彼らが最初に決心したのは、
「絶対にアメリカを離さない」
ということだった。
何があっても、英米の同盟関係は解消しないと決心したのである。

・実際にイギリス人は、アメリカ人のひどい仕打ちを繰り返し受けた。
しかし英国は、それに黙ってじっと耐えたのである。
これが「忍耐力(デイシプリン)」だ。

・第二に、フランスとの関係改善だ。
英国はフランスと17件の植民地・領土係争案件を抱えていた。

イギリスは、交渉ですべてを素早く解決した。
英国はすべての案件で譲歩した。

・第三の決断は、嫌々ながらもロシアと組むことであった。

・これらの交渉で、イギリスは譲歩に譲歩を重ねた。
「ひどく稚拙な外交だ、腐っている。
シャンパンを飲んで、キャビアを食べているだけで、
ろくに仕事をしていない。
帝国の遺産を食いつぶしている」

などと国民に痛烈に批判されながらも、
英国外務省は、屈辱に耐えたのである。

・1914年にドイツとの戦争がはじまると、
ドイツには、最高の陸軍があり、素晴らしい科学者がおり、
重要な技術や兵器をいくつも発明したのだが、
それでも、ドイツは勝てなかった。
それはドイツが、3つの世界的な帝国を敵に回したからである。

・なぜ英国は、最終的に勝利できたのだろうか。
それは、かれらが戦略を冷酷な視点でとらえることができたからである。

・要するに、同盟関係は、自国の軍事力より重要なのだ。
わたしのいう「大戦略のレベル」とは、
資源の豊富さ、社会の結束力、忍耐力、人口規模などに
左右される領域である。

・とりわけ重要なのが、同盟を獲得する「外交力」だ。

・イギリスは、強力な規律を持ち、
戦略にそれが不可欠であることを知っていた。

「大戦略」のためには、時に極めて不快なことも
受け入れる必要があることを知っていた。

・第二次大戦後に、アメリカが結成したNATOは、
このイギリスの戦略のコピーである。

加盟国には、アイスランドやルクセンブルクのような小国の他に、
のちにはトルコやギリシャも加えている。

戦闘力としてはほとんど無価値に思える小国でさえも、
イギリスは無視していない。

・彼らを同盟国としてリクルートすることこそ、
イギリスを世界の覇権国たらしめたやり方だったのである。

そして、戦後のアメリカは、それを受け継いで、
ソ連という熊を倒したのである。

※コメント
日本のすべての政治家、政府職員、国民に読んでもらいたい一冊だ。
戦略とは何かを、面白く、ユーモラスに、教えてくれる。
ルトワック氏は、本当にたとえ話がうまい。
一流の戦略家であると同時に、一流のストーリーテイラーである。

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