◆白洲信哉『白洲スタイル:白洲次郎、小林秀雄』を読み解く

◆白洲信哉『白洲スタイル:白洲次郎、小林秀雄』を読み解く

※要旨

・子どもの頃から、
僕には友達が少なかった。
僕の人付き合いの仕方は、広く浅くではない。
といって、狭く深くでもない。

ではどうなのかといえば、
狭く浅くという他ないだろう。

・要するに四六時中会うのではなく、
たまに会って、お互い刺激し合うことだと思っている。
そして一度信じた相手とは、長く続く。

・遊学先のイギリスから帰国してまもなく、
漢字やひらがなの文字が美しく見えた。

イギリスで英語に取り囲まれて暮らしたことによって、
日本語に目覚めた。

ついには「日本とは何か」
というテーマをライフワークとして、
ものを書くことを仕事にするまでになった。

・祖父の小林秀雄といえば、夕方に鎌倉の家へ遊びに行くと、
いつも寝転がって一人で音楽を聴いていた姿を思い出す。

・僕の書斎で、すぐに手の届く場所にあり、
繰り返し読む本と言えば、
白洲正子と小林秀雄の本だ。

読むたびに自分の心に残る言葉を発見し、
はっとすることがある。

・小林の文体や、言葉づかいの美しさ、力強さ、
テンポのよさ、どれ一つとっても真似できない、
と思い知らされる。

・言葉が、多過ぎてはいけないし、
足りなくてもいけない。

そして読者の想像力にまかせる余白を残す。
そうした文章の設計図の作成に、
小林は尋常でない時間をかけていることが伝わってくる。

・今でこそ白洲次郎と正子がドラマになったり、
雑誌の特集にとりあげられているが、
当時の幼い僕にとっては、
鶴川のおじいちゃん、おばあちゃんにすぎなかった。

・僕が知っている頃の白洲次郎といえば、
夕方になるとドテラを着てウイスキーを飲んでいる、
どこにでもいそうな好々爺然とした禿げ頭の老人だった。

・仮に白洲次郎から続く我が家の流儀、
といったものがあるとしたら、
なんでも直感で判断すること、
そしてそれを大事にして生きることではないかと思う。

・祖父の次郎は憲法草案に関わった終戦連絡時代や、
日米講和にいたる政治の文章や資料を、
「こういうものは墓場に持っていくもんだ」
と言って晩年燃やしたという。
そして「僕は歴史を信じない」とも言っていた。

・火の海で壊滅したはずの室町文化は、
雪舟の絵を、世阿弥の能を、茶の湯を今に残した。
明治維新も、従来のモノの大破壊、大洪水の時代と言えるだろうが、
江戸の粋は残った。

・かつての経済人は茶道と経済界を繋いだ。
明治以降の多くの経済人に影響を与えながら、
社交としての茶の湯の世界を確立したということだ。
つまり本物との付き合い方で社交の文化も決まるということだ。

・何かを鑑賞するときに大事なのは、
まずは自我を滅して無碍三昧にモノを「見る」ことが
できるかということに尽きる。

自分自身が「いいな」と思ったモノを凝視し、
その作者や時代に思いを馳せることだ。

・祖母の正子は、
「羅生門が再建され、朱雀大路が復活する。
そんな京都の姿を見てみたい。
もちろん、夢の夢だろうけど、
陛下が京都にお戻りいただくのがいいわと思うわ」
と口にしていた。

・僕にとって、日本人としての誇りとは、
世界へ輸出する電器製品や自動車などではなく、
『古事記』や『源氏物語』、縄文土器や宗達の画、
唐津の盃なのである。

たとえ99%の人がプラスチックの器を使うようになっても、
僕は染みのついた陶磁の器を使い続けるだろう。

・「朝茶は七難隠す」
と言われる。
流行の言葉でいえば「癒し」の最上のものだろう。

たまには休みの朝に、コーヒーではなく茶を点て、
味わってみたらどうだろうか。
とくに夏、水で出る最高級の玉露を、
飲んでもらいたい。

・僕自身は貴族の生活など知るよしもないが、
祖父を通じて感じたことは、
目立たないことに美徳を求める英国貴族たちの姿だった。

・控えめに振る舞うことを「粋」とする彼らの行動は、
祖父に多大な影響を与えた。

・どんなブランドを着ているかとか、
アクセサリーは何がいいということなどより、
内面を自分なりに日々鍛錬することの方が大事だ。

祖父の次郎は、
「ヘンリー・プールのスーツは60を過ぎてから着るものだ」
と言っているが、同じ意味だと思う。

ある程度年齢を重ねて人間的に円熟しないと、
一流のスーツは着れないよ、
ということだろう。
装うことも陶芸も、結局中身が大事なんだ。

・祖父の次郎は武相荘と名付けた町田の家で、
カントリージェントルマンをきどっていたが、
都会と田舎に家を持つことは英国紳士の教養である。
彼らは狩りや、農作業をしたりして、
汗をかいて週末を過ごしている。

※コメント
白洲次郎とは何だったのか。
身内でしか分からないところが書かれており、
おもしろい。
ファミリー内部での見解は興味深い。

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