続・消費税増税方針リークの思惑は・・・?

続・消費税増税方針リークの思惑は・・・?

おはようございます。
リアルインサイトの今堀です。

今回は前回の続きです。

前回冒頭の「安倍首相の表明」

首相、消費税増税へ「政策総動員」
19年10月予定通り
(2018年10月15日・日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36492750V11C18A0000000/

に戻りますと、来年の増税は
既定路線として進めつつ、

タイミングを慎重に測っていたのでは
ないかと思われます。

日曜日の報道となったことにも、
おそらく意味があるでしょう。

株価に大きな影響を与える発表は、
昔から金曜日に行われることが
多いのも、

休日を挟んでクールダウンさせる
時間を確保することが主眼です。

(ライブドアに東京地検特捜部が
 家宅捜索に入った2006年1月16日は
 月曜日だったため、当時はかなりの
 批判がありました)

結果的に、一昨日の日経平均株価は
423円安(▲1.9%)となり、2ヶ月ぶり
安値となりました(昨日はだいぶ反発
しましたが)。

消費増税方針表明だけでなく、ムニューシン
米財務長官の「為替条項」発言が与えた
影響も小さくなかったのかもしれません。

日経平均大引け 大幅反落、423円安
2カ月ぶり安値、為替条項などに警戒
(2018年10月15日・日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXLAS3LTSEC1_15102018000000/

6月22日付でお届けした、

内閣支持率回復と「ポスト安倍」の絶望

というメールでも、

“二度の延期を経た10%への増税も、
今月15日に閣議決定された「骨太の方針」に
「実現する必要がある」と明記されてしまい
ましたので、もはや絶望的な状況です。”

と書きましたが、「絶望」はより色濃く
なってきています。

また、以前ザ・リアルインサイト会員様
向けのメールでお伝えしたことのある内容を、
再度書かせていただきます。

「デフレ期の増税」

「あり得ない愚策」

です。

そして、「消費税」とは、かつて何度も
内閣を吹き飛ばして来た程問題の大きな
税目なのです。

その意味では、徐々にではあっても着実に、
国民の認識が変化させられてきたと言える
でしょう。

ざっと、歴代首相と消費税の歴史を
振り返ってみると、以下のようになります。

1979年1月 大平正芳首相:
「一般消費税」導入を閣議決定。

同年
10月の総選挙中には断念を表明するも、
議席を大幅に減らす大敗を喫する。

1987年2月 中曽根康弘首相:
「売上税」法案を提出するも、
国民的な反対により、廃案。

1988年12月 竹下登首相:
消費税法を成立させる。

1989年4月施行
(3%)直後のリクルート事件の影響も
あり同年6月に辞任。

1994年2月 細川護煕首相:
消費税を税率7%の国民福祉税に
する構想を発表するも、発表翌日に
撤回。4月には内閣総辞職。

1994年11月 村山富市首相:
消費税率を3%から4%に引き上げ、
地方消費税1%を加えて5%とする
税制改革関連法を成立させる。

1997年4月 橋本龍太郎首相:
消費税率を5%に引き上げ。

2009年9月 鳩山由紀夫首相:
「4年間消費税は上げない」とした
マニフェストで民主党が政権交代を実現。

2010年6月 菅直人首相:
直前に「消費税10%」を打ち出した
参院選で惨敗。

2012年8月 野田佳彦首相:
民・自・公の三党合意により、消費税率を
2014年に8%、15年に10%と引き上げる
法案を成立させる。

2014年4月 安倍晋三首相:
消費税率を8%に引き上げ。

同11月には
2015年10月の税率10%への引き上げを
1年半延期。

2016年6月 安倍晋三首相:
2017年4月の税率引き上げを2019年
10月に2年半再延期。

長い年月をかけて、少しずつ、確実に消費税
導入と増税が進められて来たことがおわかり
いただけたと思います。

ザ・リアルインサイト2月号の講演会動画で、
京都大学大学院教授、内閣官房参与の

藤井聡(ふじい・さとし)氏が力説
されていたように、

「財政再建のために消費増税は不可避」

というストーリーは、既に国民の間に
広く浸透してしまったようです。

同氏のご発言を少し引用させて
いただきます。

「(以前出演したTV番組で)
 街角インタビューします。そうしたら
 普通のおばちゃんが、ほとんど経済
 政策とか政治とか何も知らんであろう、

 そんなこと言ったら失礼かもしれません
 けど、普通に生活しているような
 おばちゃんが、
 
 財政大変やからと知ってはるんですよ。
 財政のことだけ知ってるんです。

 それだけ毎日毎日借金やばい、借金
 やばいと思い込まされているから
 なんですね。」

ここに、世間の「空気」がよく表れて
いるようにも思えます。

“「空気」とはまことに大きな絶対権を
 もった妖怪である。一種の「超能力」
 かも知れない。

 何しろ、専門家ぞろいの海軍の首脳に、
 「作戦として形をなさない」ことが
 「明白な事実」であることを、強行させ、
 
 後になると、その最高責任者が、なぜ
 それを行ったかを一言も説明できない
 ような状態に落とし込んでしまうのだから、
 スプーンが曲がるの比ではない。

 こうなると、統計も資料も分析も、
 またそれに類する科学的手段や論理的
 論証も、一切は無駄であって、

 そういうものをいかに精緻に組みたてて
 おいても、いざというときは、それらが
 一切消しとんで、すべてが「空気」に
 決定されることになるかも知れぬ。

 とすると、われわれはまず、何よりも
 先に、この「空気」なるものの正体を
 把握しておかないと、将来何が起るやら、
 皆目見当がつかないことになる。”

(山本七平著『「空気」の研究』
 P.19より)

安倍首相の「表明」に関する報道には、
確固とした「意思」を感じざるを
得ません。

政権支持者の中でも、

「まだ決定ではない」

と見る向きは少なくないようですが、
そもそも昨年の衆院選でも、与党が

「10%の増税」

を公約に掲げて勝利した事実は
重いものです。

各党の公約 ――政策別――
(NHK選挙WEB)
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/shugiin/2017/kouyaku/seisaku/seisaku02.html

今年7月6日には、前出の藤井氏も
深く関与された、

「安藤提言」

が安倍首相宛に行われました。

正確に言うと、

安藤裕(あんどう・ひろし)衆議院議員
主宰の

「日本の未来を考える勉強会」

が行った、

“デフレ完全脱却による財政再建に
 向けた「平成31年度予算編成」に
 ついての提言」”

というものです。同議員のサイト、

あんどう裕
https://www.andouhiroshi.jp/

で内容が公開されているので、以下の
「概要(Ver.2)」にお目通し
いただければ、

消費増税の有害性が改めてご認識
いただけると思います。

「デフレ不況から完全に脱却し、
 日本経済を成長路線に乗せると同時に、
 財政再建を果たすために必要な
 財政政策に関する提言〈Ver.2〉」
https://www.andouhiroshi.jp/wp/proposal/vol_2/

同提言は、首相官邸のサイトにも
掲載されました。

自由民主党日本の未来を考える
勉強会による提言申入れ
(2018年7月6日・首相官邸)
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201807/06moushiire.html

これは、大いに希望の持てる
展開ではあったものの、

結果的には「ガス抜き」に使われて
しまったのかもしれません。

「アベノミクス」での景気回復を
目指していたはずの政権が、

消費増税を積極的に推進する
合理的理由はありません。

実際に、2014年4月の8%への
増税では、「痛い目」を見たはずです。

それにも関わらず、

“増税方針と同時に税率引き上げで
経済に影響を及ぼさないように
するため「全力で対応する」”

消費増税実施、重ねて表明 
「あらゆる政策動員」と安倍首相
(2018年10月15日・ロイター)
https://jp.reuters.com/article/sales-tax-japan-idJPKCN1MP0YI

とまで言っているのですから、

深刻な悪影響を与えることが十分に
わかった上で、強行しようとして
いることになります。

先にも述べたとおり、これは安倍政権に
限った問題ではなく、連綿と、着実に
進められてきた路線です。

この背景にも、理屈ではなく、
抗いがたい

「空気」

が存在しているように思えて
なりません。

「改元」が行われ、新たな御世が
始まるその年に、衰退途上の経済に

「とどめの一撃」

が加えられようとしています。

日々絶望が色濃くなってゆく感を
覚えますが、そうした状況でも、
抵抗を諦めてはならないと思います。

ザ・リアルインサイト9月号の
講演会動画にご登場いただいた、

評論家の佐藤健志(さとう・けんじ)氏が、
『表現者クライテリオン』11月号の連載で
触れられていて思い出したので、

最後に長めの引用をさせていただきます。

何度かご紹介させていただいている
書籍ですが、

ザ・リアルインサイト8月号の
講演会動画にご登場された、

評論家の中野剛志(なかの・たけし)氏の
ご著作、

『日本の没落』

からです。

同書の下敷きとなっている、

『西洋の没落』の著者、

オズヴァルト・シュペングラーが
『人間と技術』に記した一節と
いうことです(孫引きです)。

「われわれは、この時代に生まれたのであり、
 そしてわれわれに定められているこの終局
 への道を勇敢に歩まなければならない。

 これ以外に道はない。希望がなくても、
 救いがなくても、絶望的な持ち場で
 頑張り通すのが義務なのだ。

 ポンペイの城門の前でその遺骸が発見
 された、あのローマ兵士のように頑張り
 通すことこそが。

 ――彼が死んだのは、ヴェスヴィオ火山の
 噴火のときに、人びとが彼の見張りを
 交代させてやるのを忘れていたためで
 あった。

 これが偉大さであり、これが血すじの
 よさというものである。

 この誠実な最期は、人間から取り上げる
 ことのでき<ない>、ただひとつの
 ものである。」
(中野剛志著『日本の没落』P.279より)

【引用・参考図書】
『「空気」の研究 』
(山本七平著, 文春文庫, 1983年)
※原書刊行は1977年
https://www.amazon.co.jp/dp/4167306034

『表現者クライテリオン』11月号
(啓文社書房, 2018年)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07HPZRVR2

『日本の没落』
(中野剛志著, 幻冬舎新書, 2018年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4344985028

『西洋の没落 I』
(シュペングラー著, 中公クラシックス,
2017年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121601742/

『西洋の没落 II』
(シュペングラー著, 中公クラシックス,
2017年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121601750/

『人間と技術―生の哲学のために』
(シュペングラー著, 富士思想叢書,
1986年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4892270091

それでは、また。

今日も皆様にとって幸多き1日に
なりますように。

日本のよりよい未来のために。

私達の生活、子ども達の命を守る
ために、ともに歩んでいけることを
切に願っています。

リアルインサイト 今堀 健司

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