日中通貨スワップは日米の信頼損なう

「日中通貨スワップは日米の信頼損なう」 編集委員 田村秀男

トランプ政権は中国人民解放軍を金融制裁し、ドルを使ったハイテク、IT(情報技術)窃取の阻止に躍起だ。

巨大経済圏構想「一帯一路」については「債務押し付け外交」であり、軍事拠点の拡大策だと非難し、アジア各国などに同調を促している。

 対照的に、日本の官民はハイテク分野での対中協力に踏み込む。

経団連はインフラ設備と金融の両面で、一帯一路沿線国向けに日中共同プロジェクトを立ち上げるという。

対中警戒心を強めているタイなどアジア各国も、中国ではなく日本がカネと技術を出すといえば、プロジェクト受け入れに傾くだろう。

不確かなビジネス権益に目がくらんだ揚げ句、習氏の野心に全面協力するというのが、かつては国家意識の高さを誇った経団連の使命なのか。

 

米中貿易戦争を受けて株安連鎖が頻発する。

最優先すべきは日米結束だが、安倍晋三首相は訪中して中国との大規模な通貨スワップ協定締結に応じる見通しだ。

これは窮地に立つ習近平国家主席を側面支援することになりかねない。

 日本との通貨スワップ協定は習政権にとってまさに干天の慈雨である。

今回のスワップ規模は、沖縄県の尖閣諸島をめぐる日中関係悪化を受けて2013年に失効した旧協定の10倍、3兆円規模に上る。

中央銀行同士が通貨を交換し合う通貨スワップ協定の実相は、金融市場が脆弱(ぜいじゃく)な国が緊急時に自国通貨を買い支えるための外貨確保手段である。

中国が誇る世界最大、3.1兆ドル(約348兆円)の外貨準備は対外負債を差し引くと実質マイナスで、張り子の虎同然だ。

そこに米国が貿易制裁で追い打ちをかけるので中国市場不安は募る。

 日本の対中金融協力は米国の対中貿易制裁の効果を薄める。

トランプ米大統領には中国の対米黒字を年間で2千億ドル減らし、黒字が年間1千億ドルに満たない中国の国際収支を赤字に転落させる狙いがある。

流入するドルを担保に元を発行する中国の金融システムを直撃するのだが、日本はドルとただちに交換できる円を対中供給する。

やはり、親中派による日中首脳会談は、危険であった。

経団連は、それほどまでに仮想敵国より企業の金儲けが大事なのか?

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