「検討中」だらけの改正入管法 11の珍言で成立を振り返る  NO.1

「検討中」だらけの改正入管法   11の珍言で成立を振り返る   NO.1

2018年12月8日、単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理・難民認定法(改正入管法)が成立した。

未明まで与野党が揉み合った末の強行採決だった。

どのような経緯で成立したのか、関係者の発言を追ってみた。

「文春オンライン」より。

安倍晋三 首相
「全国的な深刻な人手不足の中、即戦力となる優秀な外国人材にもっと日本で活躍してもらうために必要だ」

産経ニュース 12月10日

 
安倍晋三首相 ©時事通信社

 あらためて、今回の改正入管法について整理してみよう。

政府はこれまで原則として就労目的の在留を認めておらず、高度な専門人材に限って受け入れてきた。

単純労働を含む外国人労働者の在留を認める今回の入管法改正は大転換となる。

受入人数も、受け入れ分野も決まっていない

 改正入管法は、新たな在留資格「特定技能」を2段階で設ける。

「特定技能1号」は特定の分野で「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に与えられる。

在留期間は最長で通算5年、家族の同伴は認めない。

「特定技能2号」は「1号」を上回る「熟練した技能」を持つと認められた外国人に与えられる。

在留期間に上限はなく、家族の同伴も認められる。

 新たに日本にやってくる外国人労働者の数は数十万人とされているが、まだ決まっていない。

受け入れは人手不足が深刻化している分野に限定されるが、どの分野かはまだ決まっていない。

また、1号も2号もどのように技能を判定するかは未定である。

あらゆることが「生煮え」のまま法案は成立し、今から4か月の来年4月から施行される。

審議時間はわずか38時間

山下貴司 法相
「衆参両院での熱心な議論でさまざまなご意見をいただき、感謝申し上げる」

産経ニュース 12月8日

改正出入国管理法が参院本会議で可決、成立し、一礼する山下貴司法相 ©時事通信社

 参院での成立を受けて山下貴司法相は記者団に対し、「熱心な議論でさまざまなご意見をいただき、感謝申し上げる」と語った。

 とはいえ、改正入管法に関する審議時間の短さは特筆に値する。

衆参両院の法務委員会での審議時間は合計38時間にとどまった。

特定秘密保護法案の63時間、安全保障関連法案の202時間、改正組織犯罪処罰法案の55時間に比べると明らかに短い。

11月29日の参院法務委員会では、自民党の長谷川岳氏と公明党の伊藤孝江氏が質問を途中で切り上げ、合計57分ほど質問時間を余らせた(朝日新聞デジタル 11月29日)。

とても「熱心な議論」には見えない。

 

問題だらけの技能実習制度に山下法相は……

山下貴司 法相
「在留資格は別物だ。密接不可分ではない」

朝日新聞デジタル 11月21日

山下貴司法相 ©文藝春秋

 問題が多い現行の外国人技能実習制度はそのまま温存されることになる。

山下法相は「そもそも制度が異なる」と述べ、両者は関係がないと主張した。

 技能実習制度は1993年に創設されたもので、発展途上国から受け入れた技能実習生に、日本で技能を学んでもらい、本国に帰ってから自国の経済発展に寄与してもらうという国際貢献の一環だった。

 しかし、当初在留期間2年、17職種を対象に始まった制度は、現在は最長5年、77職種に広がっている。

経済評論家の森永卓郎氏は「いつの間にか、単純労働受け入れの隠れ蓑に変質していった」と指摘している(マガジン9 12月12日)。

劣悪な労働条件を課される実習生も多く、人材ブローカーから高額の手数料を負わされる問題も発生。

厳しい労働条件によって失踪した実習生の数は昨年1年だけで7000人を超えた。

「失踪」というと本人が悪いようだが、劣悪な環境に耐えかねた「脱走」も多い。明らかに異常だ。

技能実習生をめぐる法務省の調査のずさんさが明らかに

山下貴司 法相
「心からおわびする」

朝日新聞デジタル 11月21日

 失踪した技能実習生に関する法務省のずさんな調査の実態も発覚した。

山下法相は11月7日の参院予算委員会で、法務省による失踪外国人技能実習生の調査結果を引用しつつ、「より高い賃金を求めた失踪が約87%」と答弁していた。

だが、法務省の実際の調査結果は「低賃金」による失踪が「約67%」で、項目名も数値も間違っていた。

 20日に行われた記者会見で山下氏は「低賃金」などの回答をした場合に入国管理局の職員が置き換えていた「より高い~」という表現について、「平成27年夏から対外的に使われており、その後も漫然と使用されていた」と説明していた(産経ニュース 11月20日)。

法案の土台となるデータの信頼性が根本から問われる事態となったが、それでも法案は成立した。

 

安倍首相「明日は法務委員会、ややこしい質問受ける」

安倍晋三 首相
「明日は法務委員会、
2時間出てややこしい質問受ける」

朝日新聞デジタル 12月5日

 安倍首相は5日、都内で開かれたエコノミストらの懇親会に出席し、「(G20から帰国した)時差が激しく残っているなかにおいて、明日は(参院)法務委員会、2時間出てややこしい質問を受ける」と話した。

安倍晋三 首相
「亡くなられた例については、今ここで初めてお伺いした。私は答えようがない」

FNN PRIME 12月6日

 審議の中で外国人技能実習生をめぐる過酷な実態が明らかになった。

2015年から2017年の間に、事故や自殺などで外国人技能実習生69人が死亡していたのだ。

2010年からの8年間では少なくとも174人が亡くなっていることも明らかになった(BuzzFeed JAPAN 12月14日)。

 立憲民主党の有田芳生参院議員は「技能実習生をはじめ、外国人の方々が、安心して日本で仕事をしてもらえるような環境にはない」「日本で差別され、虐待され、けられ、殴られ自殺した、そういう人はいっぱいいる。

これをどのように総括して、新しい制度に入るのか?」と安倍首相を質したが、答弁に立った安倍首相はこのような実態についてまったく知らなかった模様。

安倍首相は前日に「ややこしい質問」という表現を使っていたが、外国人労働者が何人亡くなろうとほとんど関心はないようだ。

安倍首相が言い張る「移民政策ではない」

安倍晋三 首相
「皆様が心配されているような、いわゆる移民政策ではありません」

首相官邸ホームページ 12月10日

 安倍首相は一貫して「移民政策」を否定してきた。

国会閉会後の記者会見ではあらためて改正入管法が「移民政策」ではないことを強調した。

記者会見では「即戦力となる外国人材を受け入れ、日本経済を支える一員となっていただく」とも言っているが、日本経済を支える一員なのに移民ではないのだろうか?

 安倍首相は必ず「外国人材」という言葉を使っているが、これは単純な言い換えである。

海外先進国の政府が持つ「外国人庁」「移民庁」と同等の役割を担うことになる「出入国在留管理庁」も言い換えである。

安倍首相が移民ではないと言い張っているので、移民をどう扱うかという制度整備が後手に回っているのは明らかだ。

 経済評論家の山崎元氏は外国人労働者の受け入れには賛成という立場を示しつつ、「彼らを家族の帯同も許さずに一時的な就労の後に帰国させることを前提とする『一時的で安価な労働者』として扱うのでは非人道的であり、国として品性下劣に思える」と安倍政権の姿勢を批判した(ダイヤモンド・オンライン 12月12日)。

 これまで安倍政権に近い立場で発言を続けてきたケント・ギルバート氏も自身のフェイスブックに「『使い捨て』政策は非人道的であると同時に、長期的な解決策になりません。

むしろ、新たな下層階級が日本にできて、差別など、重大な人権問題に発展することになりかねません」と書き込んでいる(11月23日)。

 
 

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