「統計のウソ」に騙されるな ~「維新政治10年で大阪は良くなった」説​の検証結果報告 ~

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 『三橋貴明の「新」経世済民新聞』

     2019/03/27

「統計のウソ」に騙されるな ~「維新政治10年で大阪は良くなった」説の検証結果報告 ~

  From 藤井聡(京都大学大学院教授)

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ネットを見ていますと、
こんなツイッターがありました。

「大阪W選。
ここ10年間で実績を作り
さらによくしようとする人と
10年より前に戻そうとする人のどちらを選ぶか。
ここ10年間の大阪のパフォーマンスの良さと
10年前の既得権のおいしさの比較ともいえる」

 

https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1109955124032462848

景気動向指数の推移(この図は藤井が改めて作成)

このグラフは、景気動向指数CIという、
いたって一般的な指標です。

これをご覧いただくと、
確かに、2008年以後の大阪のグラフのほうが、
全国のそれよりも、上側を推移しています。

ちなみに、2008年というのは、
大阪府知事に橋下氏が初めて就任した年。

だから確かにこれだけ見ると、
このツイッターで言われるように
橋下氏以後の「維新政治」には、
大阪を成長させたという「10年間の実績」
があるように見えます。

実際、このツイッターは、
次のようなメッセージと共に
「リツイート」(紹介)されたりしています。

「なぜ高橋さん以外の学者は、
きちんとこういう政治評価をしないのか」
https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1110164022584725504

「やっぱり大阪すごいわ。」
https://twitter.com/adachiyasushi/status/1110168564382597121

「維新がダメならダメでいい。
しかしそれはきちんと根拠があっての話だ。
好き嫌いで政治を選んだら大阪も日本もダメになる。
政治は実績だ。実績をきちんと評価せよ。」
https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1110211738450817024

このツイートは、ネットニュースにすらなって報道されています。
https://blogos.com/article/366670/

このように、
「どうだ、この10年の大阪は政治の凄いだろう」
というメッセージが今、
急速にネットで広まっているようなのですが、
この一連のつぶやきやデータを一目見た時から、
当方は、「激しい違和感」を感じました。

なぜなら今から4年前、
大阪の成長率と「近畿の周辺府県」の成長率を比較した時、
2008年以後、大阪「だけ」が「衰退」
していたことを、筆者は知っていたからです。

 

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=701466309954315&set=a.236228089811475&type=3&theater

ついては、筆者は、改めてこの問題を
多角的に検討するために、
つまり、「さらにきちんと評価」するために、
次のようなグラフを作ってみました。

 

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1734629309971338&set=a.236228089811475&type=3&theater

このグラフは、先ほどのグラフに、
「近畿」のデータも追加したもの。

御覧のように、先ほどのグラフを
随分と印象が変わります。

まず、このグラフから分かるのは、
2008年以後、全国より調子が良かったのは、
「大阪というよりむしろ近畿全域だった」
ということです。

というより、よくよく見ると、
大阪の推移は「近畿全域」よりも若干劣る
ものであることも見て取れます。

つまり、
全国よりも大阪が景気がよかったのは、
別に大阪の首長達がよかったからじゃなくて、
「大阪が近畿にあったから」
というだけの話だったんじゃないか、
というか、

近畿よりも大阪の方が若干劣る推移ですから、
この10年の大阪の政治は、
大阪経済に貢献したというより、むしろ逆に、
「近畿の足を引っ張っていた」
とも言えるのではないかーーー
と考えられるわけです。
(※この推論のさらなる詳細は、補足1もご参照ください)

ちなみに、こういった指標の比較では、
基準を何にするかで、
グラフの形は大きく変わります。

先のグラフは、「2008年の平均」を
基準(100)としていましたが、
2008年というのは、リーマンショックが起こり、
経済が「谷底へと急激に下落」していった特殊な年。

こんな急激な経済変化は、
地域によってまちまちですから、
基準としてはあまり推奨できません。

それよりも、こうした時には、
ショックで「底」を打った時点を
基準にするという分析が
学術的にはしばしば採用されます。

(例えば、こちらの
リーマンショック後の回復プロセスについての学術論文を
ご参照ください。昔懐かしい中野剛志「准教授」との共著です 笑)
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/images/stories/PDF_1/Fujii/201210-201212/maeoka_e.pdf

日本がリーマンショックによって
最も景気が悪かった時点は、
2009年3月なのですが、
この時点で、同じグラフを作ると、
このようになります。

 

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1734785899955679&set=a.236228089811475&type=3&theater

こうすると、さらに印象が違ってくるのが
お分かりいただけますよね。

まず、近畿が全国より良好に推移しているのは、
変わりません。

しかし、「大阪と全国との差」は、
先ほどのグラフに比べれば、
かなり小さくなっています。

というより、
2011年3月の「東日本大震災」
までは近畿どころか、
全国よりも大阪は圧倒的に劣った推移を
していたことが明確にわかります。

つまり、東日本が大震災で大怪我をおって初めて、
大阪は全国に追いつくことができたのです。

(ということは、
2008年以後の大阪の政治は、
日本全体への東日本大震災級のショックを
大阪に与えていた、とも解釈できそうです)

その後、ほぼ同様の推移をしますが、
大阪の値が全国を上回ることになったのは
2014年4月の消費増税以後。

御覧のように、
大阪は全国のように、
消費税ショックをあまり受けていないーーー
ようなグラフになっています。

しかしこれは、単なる見かけ上の話。

そもそも、
全国では「商業販売額」全体が考慮されているのですが、
大阪府では「百貨店の売り上げ」
だけしか考慮されていないのです。

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1949/00004529/keiretu_change2017-2.doc
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di3.html

そして、
「百貨店の売り上げ」は
消費増税の影響をほとんど受けていませんが、
https://www.wwdjapan.com/656979

(2014年の消費増税前後でほぼ変化していません)
「商業販売額」は、
消費増税直後に急落しているのです。

つまり、大阪のデータは、
商業全体の落ち込みが考慮されておらず、
見かけ上、全国よりも良好に
「見えていた」というだけの話だったわけです。
(※より詳しい分析は、補注2もご参照ください)

さらに言うと、大阪には「統計の相違というゲタ」
があるにも関わらず、
2018頃から大阪と全国の差が無くなりつつあります。

これは、実態としては、
今となっては、大阪の景気が全国を下回っている―――
という重大な疑義を示しています。

ちなみに・・・
大阪と近畿を比べると(このグラフの方が)
ほとんどの期間で
大阪が近畿よりも劣っている事が
よりハッキリと分かります。

そもそもリーマンショックの被害は、
政策で何とかできるものではありません。

着任したばかりの首長が政策で何とかできるのは、
その後の「回復」だけなのです。

その意味において、2008年基準のものより
こちらのグラフの方が、
より、「政治の実績」を表しています。

・・・

以上、あれこれと解説しましたが、
本稿での分析をまとめておきましょう。

(1)大阪の10年は、「近畿全域」よりも劣るものだった。
(2)全国より成長して見えたのは、単なる統計の定義の違いによるものだった。

(3)定義の相違を除去すれば、むしろ最近の大阪は全国よりも劣っている疑義が濃厚である。
(4)「2008年に誕生した大阪の政治」は、東日本大震災級のショックを大阪に与えていた疑義が濃厚である。

今こそ、このお言葉を、我々は皆、
思い起こさなければなりません。

「好き嫌いで政治を選んだら大阪も日本もダメになる。
政治は実績だ。実績をきちんと評価せよ。」

https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1110211738450817024

以上の分析が、皆様の適切な判断に貢献できますこと、
心から祈念いたします。

(補足1)本来なら、大阪は
かつての「日本の商都」として、
今日の「西日本の首都」として、
近畿・西日本の経済を
けん引する立場にあったにも関わらず
近畿全域に勝ててなかったわけであり、

かつ、
大阪には、他の府県には無い、
凄まじい数のインバウンドを受け入れ続けた
「関西」国際空港を抱えていたにも関わらず、
近畿全域に勝ててなかったわけですから、

「大阪が近畿の足を引っ張っていた」との表現は、
相当程度、正鵠を射たものだと考えられます。

(補注2) ここでは図の貼り付け不要です
しかも、全国の「商業販売額」の推移の「形」と、

全国の「景気動向指標」の推移の「形」は、
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/images/stories/PDF_1/Fujii/201210-201212/maeoka_e.pdf
2014年(消費増税)前後で、そっくりです。

 

ということは、
増税直前まで大阪と全国の差が無かったのに、
増税直後から大阪が全国よりも良好に「見えていた」のは、
統計の取り方の違いがあったからだと、
より強く結論づけることができます。

—発行者より—
総理「政権中にこれを破棄できなければ、日本はオシマイ」

三橋貴明と総理との会談時で明かされた真実。

●総理が、三橋との会食をオープンに
(世に公開)してまで国民に伝えたかった事とは…?

●この会食で明らかになった、
私たちの邪魔をする[3つの敵の正体]とは?

●2020年に訪れるかもしれない
日本の危機的状況とは一体何なのか?

日本が発端となり、
2008年のリーマンショックが再来する?

などなどメディアが決して報道しない
「安倍総理の告白」と「日本経済2020年危機」
について解説した書籍を出版致しました。

こちらから詳しい内容をご覧ください。
https://keieikagakupub.com/38JPEC/1980/

※メルマガのバックナンバーを以下で
ご覧いただけます。
https://38news.jp/

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