優れた民間人のほうが主流派経済学者などよりずっとマシ: From 小浜逸郎

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 『三橋貴明の「新」経世済民新聞』

     2019/4/18

優れた民間人のほうが主流派経済学者などよりずっとマシ

  From 小浜逸郎@評論家/国士舘大学客員教授

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すでに三橋貴明氏がこのメルマガで紹介していますが、WEZZYのWEBマガジンで、地蔵重樹氏というライターが、「令和は平成以上に国民が貧困にあえぐ時代に? MMTは日本経済の低迷を救うか」という、素晴らしい記事を書いています。
https://wezz-y.com/archives/64990

こういう炯眼の士が出てきたことは、まことにありがたいことです。
未読の方は、ぜひお読みください。

この記事は、いまアメリカで評判のMMT(現代貨幣理論)を、肯定的にとらえて紹介したものです。

 

合わせて、日本政府の財政破綻論にもとづく緊縮財政や、これを支持してきた政治家、主流派経済学者、マスコミが、いかに間違っているかを、わかりやすく説明しています。

 

全文、その通り! と合いの手を入れたくなります。

まず、政府批判の部分を引用します。

《政府はアベノミクスでデフレ脱却を目指しながらも、緊縮財政、規制緩和、増税などのインフレ対策(アベコベノミクス?)を行ってしまった。

風邪をひいている病人に氷水を浴びせてこじらせてしまったようなものだろう。

しかも、ついには公式統計までごまかし出す始末。

名目賃金が誤差程度に上昇したことを鬼の首を取ったかのように主張しているが、実質賃金は下がっている。

おまけに、相も変わらず政府の借金を国の借金と言い換えて、1100兆円を国民一人当たり885万円の借金だというレトリックで存在しない財政破綻危機を煽り、増税の口実にしている。》

次に、地蔵氏は、MMTの骨子を、次のようにまとめています。

 《●自国通貨を発行できる政府は財政的な予算制約を受けることはない

たとえば日本や米国、英国が該当する。

一方、自国通貨を持たず発行もできないユーロ圏の国々は該当しない。

  ●経済と政府には、生産と消費に関する実物的な限界と環境上の限界がある。

これは、政府には消費を拡大したり減税したりすることでインフレを起こすことができるという意味だ。

  ●政府の赤字は他の人たちの黒字となる。

これは誰かの赤字は必ず誰かの黒字になるという単純な法則だ。》

2番目の「経済と政府には、生産と消費に関する実物的な限界と環境上の限界がある」という表現は、
ややわかりにくいですが、その理由は「限界=margin」という独特の経済学用語にあるようです。

この訳語は、日本語では、ネガティブなニュアンスを持ちますから、ちょっと不適切で、「余裕」とか
「可能性」と意訳すべきでしょう。

「そこまでできる」という感じですね。

そうすると、後段との間がスムーズにつながります。

さて、すでに多くの人(といっても少数派ですが)が指摘しているように、自国通貨建てで国債を発行
できる国、アメリカ、イギリス、日本、スイスなどは、原則的に、国債をいくら発行しても、財政破綻
することができません。

それが、自国通貨を持たないユーロ加盟諸国との決定的な違いです。

MMTは、そのことをはっきり謳っています。

ユーロ加盟諸国は、金融政策をECB(欧州中央銀行)に握られているので、自国の財政状態が苦しい時には、増税するか、ユーロで借金して、それを返済するために緊縮財政にシフトせざるを得ません。

そうすると国内景気はますます悪化して、財政破綻の危機が現実的となります。

そのためにまた借金をして、というように悪循環に陥ります。

いずれにしても、国民を苦しめる結果になっているわけです。
経済だけでなく、政治的な意味でも、EUモデルはすでに破綻しているのです。

しかし日本には、その可能性はゼロです。

にもかかわらず、財務省や御用学者は、マクロ経済がわかっていなくて(笑)、PB(基礎的財政収支)を黒字化しないと財政破綻すると狂信しています。

MMT理論の提唱者、ケルトン教授は自国通貨を持つ国の政府がけっして財政破綻しない好例として、GDPの2倍を超える負債を抱えている日本を挙げています。

これを聞くと、何となくうれしい気持ちになりますが、その事実を一向に認めようとしない、当の日本の財政担当者の体たらくを見ていると、逆に、「馬鹿に付ける薬はない」と、情けなくなります。

ケルトン教授は、もちろんその馬鹿さ加減を知っているでしょうが、はっきり指摘してはいないようなので、ぜひ指摘してほしいと思います。

ケルトン教授を日本に招請することはできないのかな。

これも情けないことに、アチラの権威筋の指摘がないと、日本は動きませんから。

また、地蔵氏の次の指摘は、たいへん重要です。

 《とはいえ、いくらMMTでも、政府が野放図に支出しても良いとは言っていない。あくまで適度なインフレが保たれる範囲でとしている。

つまり、極度な需要過剰(供給不足)でインフレが過熱しないように調整は必要だというのだ。》

この指摘がなぜ重要か。

それは、MMTに反論するために、その論理を意図的に誤解して、自国通貨を持つ国は無限に財政出動してもかまわないと言っているかのような印象操作をする手合いが必ず出てくるからです。

しかし皮肉なことに、財務省や日銀は、インフレが過熱しそうになったら、それを抑制する技にかけては、超一級です。

デフレ期に倒錯した手法を取ってきた、まさにその手法を使って、増税や緊縮に乗り出せばよいからです。

要するに、デフレ期とインフレ期には、それぞれの時期に見合った適切な調整方法があるので、その適切さの感覚を喪失して、真逆のことをやっているのが、いまの財務省です。

デフレ期に財政赤字などまったく問題にする必要がないことは、MMTでも指摘されています。

むしろ反対に、政府が赤字を増やすこと、つまり国債を増発して積極財政に打って出ることこそが、デフレ脱却の唯一の方法なのです。

地蔵氏はまた、中野剛志氏や三橋貴明氏が盛んに説いてきた、「信用創造」の原理についても、的確な指摘をしています。

 《銀行が企業などに融資する場合、なんとなく預金で集めたお金を貸し出していると思ってしまう。

しかし現実には、銀行は実際に持っている以上のお金を貸し出すことができるという魔法を持っている。

  たとえば銀行がある企業に10億円を貸し出すとする。その時、銀行はどこかにとっておいた10億円を持ってきて貸し出すのではない。

単純に、貸出先企業の口座に10億円記帳するだけなのだ。(中略)

  つまり銀行という制度は、理論的には相手が返済能力さえあれば、際限なくお金を貸し出せることになっている。(後略)》

中野氏は『富国と強兵』の67ページで、イングランド銀行の2014年の季刊誌にはこの「信用創造」の原理がきちんと解説されていると述べています。

この原理は、当然、政府が国債を発行して、日銀当座預金から資金を借り入れる(ただそう記帳するだけですが)場合にも当てはまります。

したがって、企業がデフレマインドのために投資に手を出さず、銀行の貸し出しが伸びない場合には、政府こそが、大胆な「借金」に踏み切るべきだということになります。

それが公共体として、国民生活に福利をもたらす政府の責任であると言えましょう。

「誰か(A)の負債は他の誰か(B)の貸与」、また「Aの赤字はBの黒字」です。

Aを政府、Bを民間市場に当てはめると、Aが借金して仕事を発注すれば、少なくともそのぶんだけ実体市場にお金が回り、Bの経済活動が活発化することは自明ですね。

しかも、政府の負債の実態は預金(日銀当座預金に書き込まれた数字)ですから、特に紙幣の増発を考える必要もありません。

国債発行として預金通帳に書き込むだけで、政府の投資が成立したことになる。

何の投資目的もなく政府が国債を発行するはずがないですからね。

このリクツがなかなかピンと来ないのは(私自身も、エラそうに書いてるほど、ピンとは来ていないのですが)、個々の生活者にとって、やはり「お金」というと、現金だけを思い浮かべてしまうからでしょう。

でも、「あなた、銀行に預金あるでしょ、あれ、お金じゃないの?」 と突っ込みを入れていきながら、徐々に、現金紙幣だけじゃなく、銀行預金も、小切手も(もちろん政府小切手も)、国債も、じつはみんな広い意味での「お金=借用証書=債務と債権の記録」に他ならないことを理解していただく、という順序でいけば、何とかわかってもらえるのではないでしょうか。

たぶん、このリクツが浸透しない根底には、金属主義の残滓が私たちの頭にあるために、貨幣とは、一定の「モノ」ではなく、経済人と経済人の信用関係の表現だ、という原理が呑み込めないためではないかと思います。

MMTなどを大いに活用しながら、粘り強く進めていきましょう。

地蔵氏は、最後に次のように述べています。

 《私は経済学者ではない。そのため、MMTについて誤った解釈をしている可能性もある。

それでも本稿を投稿したのは、MMTの議論が盛り上がれば日本経済にプラスになると考えたためだ。》

たいへん謙虚な語り口で、好感が持てます。

同時に、「経済学者」なんかじゃなくたって、こうした正しい認識を持てるんだということの一つの証
明にもなっています。

筆者も地蔵氏とともに、MMTの盛り上がりを祈りたいと思います。

そのためにも、すでにMMTを政策の中に盛り込んだ「令和の政策ピボット」に、ぜひご賛同
いただければ幸いです。

令和の政策ピボット
https://reiwapivot.jp/

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