ネーデルラント連邦共和国の勝利 From 三橋貴明

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 『三橋貴明の「新」経世済民新聞』

     2019/05/06

    ネーデルラント連邦共和国の勝利

          From 三橋貴明

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過去の覇権国は「二系統」あった。
アメリカ型覇権国と、ロシア型覇権国。

なぜ、「アメリカ」型とロシア「型」と
表現しているのかと言えば、トクヴィルの有名な予言、
『アメリカ人は自然がおいた障害と闘い、ロシア人は人間と戦う。

一方は荒野と野蛮に挑み、
他方はあらゆる武器を備えた文明と争う。

それゆえ、アメリカ人の征服は農夫の鋤でなされ、
ロシア人は兵士の剣で行われる。(中略)

両者の出発点は異なり、たどる道筋も分かれる。
にもかかわらず、どちらも神の隠された計画に召されて、
いつの日か世界の半分の運命を手中に収めることになるように思われる。

(1835年刊行「アメリカのデモクラシー」)』
に由来しています。

トクヴィルは、アメリカとロシアが
それぞれ覇権国になる(冷戦期に現実になった)ことを予言しましたが、
実は過去の覇権国はそれ以前から「二系統」存在しました。

〇アメリカ型覇権国:ネーデルラント連邦共和国、連合王国、アメリカ合衆国
〇ロシア型覇権国:大モンゴル帝国、ロシア帝国、ソ連邦、大清帝国

興味深いことに、上記は梅棹忠雄の
文明の生態史観(第一地域と第二地域)、
マキンダーの地政学(シーパワーとランドパワー)に、
見事に対応しています。

ところで、アメリカ型のシーパワーのはずが、
ランドパワーのロシア型領域帝国を拡大したのが
スペイン王国になります。

スペイン王国は第零次グローバリズム
(いわゆる「大航海時代」)の口火を切ったシーパワーですが、
アメリカ大陸で残虐な征服戦争を展開し、
ランドパワーを兼ねました。

興味深いことに、上記の国々「全て」と
衝突あるいは戦争を繰り広げた国が
世界に一カ国だけあります。すなわち、我が国です。

元寇、スペインの侵略撃退、日清戦争、日露戦争、そして大東亜戦争です。

さて、トクヴィルの言う通り、
ロシア人は「人間」と戦い続けました。
具体的には、大軍を持って他国を侵略し、
自らの帝国を拡大していくのです。

必然、ロシア型覇権国は
「多民族」「多言語」「多宗教」となります。
複雑な構成の帝国を、たった一人の男(皇帝)が支配するのです。
ロシア型覇権国の権力の源泉は、圧倒的に「軍事力」です。

それに対し、アメリカ型覇権国は
「生産性向上により供給能力(=経済力)を圧倒的に高める」
ことで覇権国となります。(※スペイン除く)

アメリカ型覇権国の特色は、
「ナショナリズム」「統一言語」「人手不足」「生産性向上」の四つです。

別に「同一民族」である必要はありませんが、
統一言語でなければなりません。

19世紀のアメリカは移民を入れたにも関わらず、
超絶的な人手不足が続きました。
アメリカの人件費は、常に欧州の三割増しだったのです。

健全なナショナリズムの下、同じ言葉を話し、
コミュニケーション上の障壁がない国民が、
人手不足解消のための生産性向上
(厳密には「投資」)により、覇権国へと成長する。
ネーデルラント連邦共和国も、連合王国も、
アメリカ合衆国も、全て同じルートを辿りました。

それでは、スペインは?
スペイン王国は、アメリカ大陸を支配し、
原住民や黒人奴隷を酷使し、「銀」「金」を採掘。
イベリア半島へと輸送しました。

金属主義が基本の中世欧州で、
国内に運び込まれる「金銀の量が膨大」だったスペインは、
それが故に繁栄し、そしてそれが故に衰退しました。

スペインから覇権を奪い取ったのは、
元々はスペイン王国の被支配国であった
ネーデルラント連邦共和国(オランダ)でした。

ネーデルラント連邦共和国は、なぜ覇権国に成長したのか。
国内に金銀がなかったためなのです。

この辺りは、国家の経済を考える上で、極めて重要です。
我々が「MMT(現代貨幣理論)」にこだわる理由とも、
思いきり関係しています。

というわけで、経世史論「歴史時事」の第六回は、
「ネーデルラント連邦共和国の勝利」を予定しています。

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