吉川洋氏の「地震に備えて消費増税を」論を完全撃破します From 藤井聡(京都大学大学院教授)

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『三橋貴明の「新」経世済民新聞』

     2019/06/13

 吉川洋氏の「地震に備えて消費増税を」論を完全撃破します

  From 藤井聡(京都大学大学院教授)

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誠に驚くべき意見です。

東京大学名誉教授で、
元日本経済学会会長で、
財政審議会の元会長でもある
現立正大学教授の吉川洋先生が、
次のように語ったとのこと。

「大地震が30年以内に起こる確率は驚くべき高さであり、いつか必ず来ると言ってもよい。被害金額は半端ではないが、それに耐えなければならない。地道に財政再建に向けた努力を続けていかなければならない」

そしてその上で、
10%への消費増税については、
本当にリーマン級のショックだとはっきりしない限りは、
「先延ばしすべきでない」
と語ったそうです。

つまり、南海トラフ地震に対する
日本の強靭化の一環として、
消費増税をしておくべきだ、という話。

これほどのトンデモない詭弁は、
耳にしたことがありません。

そもそも私は、
国土強靭化担当の内閣官房参与を六年間勤め、
現在でも、政府の国土強靭化の有識者会議の座長を務めており、
巨大地震が来た時に、
金融不安も含めた深刻な事態を回避するために、
一体何が必要なのかを議論し続けてきました。

その議論の中で、
「強靭化のために消費増税をしておきましょう」
なぞという議論は、
財務省サイドからも、金融庁サイドからも
未だかつて耳にしたことがありません。

なぜなら、消費増税は、
強靭化を導く対策では一切ないからであり、
さすがにそのようなことを、
政府の真面目な強靭化の会議で、
財務省・金融庁側から主張するようなことは
不可能だからです。

もうどこから吉川氏の主張の詭弁性を
明らかにしていけばいいのか
分からない程に、激しくでたらめなご主張ですが、
一つ一つ論じていきましょう。

第一に、地震が起こって、
財政の危機的状況(例えばデフォルト)が起こるとすれば、
それは、その時点での財政の健全性ではなく、
最後の貸し手である日銀が、
地震時点で即座に対応できない、
という場合に限られます。

ですから、強靭化の議論では、
日銀や金融庁、さらには、財務大臣や総理大臣が、
迅速に対応可能な状況をつくるべきだ、
という議論と対策を進めています。

「増税をして財政を地道に健全化しましょう」
というような吉川氏がイメージしているであろう悠長な議論など、
強靭化の議論の現場では、全く通用しないのです。

第二に、地震が起こり、復興しなければならない場合、
そのコストは税収でなく、
国債で賄うのが常識です。

そもそも、税収で復興すると決める、
ということイコール、
復興をあきらめる、ということを意味します。

なぜなら、
一般会計は平時の支出で「いっぱいっぱい」なわけで、
地震時にはそれに「追加」して、
莫大な復興費がかかるわけですから、
国債以外の財源などあり得ないのです。

だから、吉川氏がイメージしているであろう、
「復興にはオカネがいるから、
 普段から税収を増やしておきましょう」
なぞという、悠長な話は全く通用しないのです。

その様なことをやっていては、
大怪我をした子供を、
今、手元にオカネがないからというだけの理由で放置して
死に至らしめてしまうように、
日本は二度と復興できなくなってしまうでしょう。

それ以外にも、

・そもそも、消費増税を行い、デフレが悪化すれば、
民間の強靭化投資の水準が低下し、
日本の強靭性は低下し、
地震の被害が拡大する。

 
そしてその結果、地震後の復興支出も拡大し、
地震後の収入も縮小し、
地震による財政被害が極大化する

・消費増税をして支出をカットするという、
吉川氏がイメージしているような対策をすれば、
公的な強靭化投資も縮小し、
地震の被害が拡大する。

 
そしてその結果、先と同じく地震後の復興支出も拡大し、
地震後の収入も縮小し、
地震による財政被害が極大化する

という問題を指摘することもできます

いずれにせよ、
国土強靭化の政府の有識者会議の座長である当方の目から見れば、
吉川氏の主張は、

 
巨大地震の時に一体何が起こるのかについて
冷静に考え続けてきた
国土強靭化の議論のすべてを無視し、
ただ単に、「地震が起こる危機があると言う事実」と、
「消費増税をすべきだという結論」を
機械的に接続した、
 
著しく思慮の書いた暴論ないしは詭弁にしか、
残念ながら見えないのです。

万一、強靭化の有識者会議の座長である筆者に
吉川氏からの以上についての反論があるなら、
いつでも反論いただきたいと思います。

反論できるのなら是非とも、
反論していただきたいと思います。

追伸1:
真の強靱化のために何が求められているのか・・・については是非、
「インフラ・イノベーション」
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を、ご一読ください。

追伸2:
こうした吉川市の議論からの「ピボット」のためには是非、
筆者の新著「令和日本・再生計画」をお読みください!

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