「英語入試改革」で教育現場は大混乱:From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学

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『三橋貴明の「新」経世済民新聞』
 2019年9月13日

 「英語入試改革」で教育現場は大混乱

 From 施 光恒(せ・てるひさ)
    @九州大学

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こんばんは~(^_^)/(遅くなりますた…)

「大学入試改革」が揉めていますね。

 
特に、TOEFL(トーフル)などの民間の英語検定試験を導入することに対して、様々な疑念が生じています。

現在は「大学入試センター試験」ですが、2020年度から、つまり現在の高校2年生から「大学入学共通テスト」を受けるように変わります。

 
新しい「大学入学共通テスト」では、英語の試験として民間の英語検定試験が導入されます。
 
「読む」「聴く」「話す」「書く」の四つの英語の技能を測定するためには、民間検定試験を用いるのが手っ取り早いと文科省が考えたからです

TOEFLやIELTS(アイエルツ)、英検、ケンブリッジ英語検定、GTEC(ジーテック)、TEAP(ティープ)など6団体7種類の民間検定試験から、

 
受験生が好きなものを選び、受験年度の4月~12月の間に最大2回受験し、一番良い点数を大学入試の際に用いるという制度が想定されています。
 
どの程度、民間検定試験の結果を活用するかは、現在のところ、各大学の裁量に任されています。
 
2023年度までは、大学入試センター試験でも現行通り、「読む」「聴く」を問う英語の試験を続けますが、将来的には、民間の英語検定試験のみで入試の英語試験が行われるようになる予定です。

去る9月10日に、全国高等学校長協会が、文科省に英語民間試験の導入の延期を求める要望書を提出しました

「全高長、英語民間試験の導入延期求める 来年度の大学入試」(『産経ニュース』2019年9月10日付)
https://www.sankei.com/life/news/190910/lif1909100029-n1.html

導入の延期を求めるのは当然だと思います。

いくつかの理由が上記のリンク先の記事にも書かれています。

一番多い懸念は、民間試験で公平性が確保できるのかというものです。

 
民間検定試験導入では、入試の公平性が損なわれてしまうのではないかと様々な観点から指摘されています。

例えば、「経済格差」の問題です。

 
民間検定試験のなかには、一回の受験料が約2万5000円に達するものもあります(例えばIELTS。TOEFLもほぼ同程度)。
 
裕福な家庭の子は、高校1年生あたりから何度も受験し試験の形式や雰囲気に慣れ、受験年度に備えるということができるでしょうが、貧しい家庭の子どもはなかなかそれができません。

あるいは「地域格差」です。

 
検定試験のなかには大都市しか受験できる会場がないものもあります。
 
離島など辺鄙な場所に住む受験生は、会場に行くのに泊りがけになる可能性もあります。
 
この点でも、大都市に暮らす受験生は、何度も受験し、実地に訓練を積むことが可能でしょうが、田舎の子には難しくなってしまいます。

試験としての「透明性」も問題視されています。

 
多くの民間検定試験は、実施団体が対策問題集を作成し、販売したりしていますが、下手をすると問題の漏洩につながることはないだろうかという指摘もなされています。
 
多くの受験生を集めるために、あるいは問題集を購入してもらうために、本番の試験に近い問題を掲載した問題集を実施団体が作ったりしないだろうかということです。

これ以外にも、さまざまな問題点が指摘できるでしょう。

私が一番、懸念するのは、それぞれの民間検定試験は、試験本来の目的も、出題形式もさまざまですので、高校の英語の授業が大混乱に陥ってしまうのではないかということです。

例えば、TOEFLはそもそも、米国の大学や大学院などの高等教育機関で英語の非母語話者が学ぶための英語力を測定する目的で開発された試験です。

 
IELTSは、英国やオーストラリアなどの高等教育機関でやはり英語の非母語話者が学んでいけるかどうかの英語力を測るものです。
 
他方、英検など日本の団体が作成するものは、日本人の英語力の測定のために開発されたものです。

それぞれ目的も出題形式も違います。出てくる語彙や文章のタイプも異なります。

高校の英語の授業は、進学校であれば特に、大学入試を意識せざるを得ませんが、そのとき、どの検定試験を念頭において授業を進めればよいか混乱するでしょう。

おそらく、高校の英語の先生方は、どの検定試験でも受験できるように総花的な授業を行うようになるのではないでしょうか。

 
しかし、生徒たちの多くは、どれか一つの試験に特化して対策を練るのではないかと思います。
 
そうなれば、大学受験に熱心に取り組もうとする生徒ほど、どっちつかずの高校の英語の授業よりも塾や予備校、英会話スクールなどの民間業者のほうを頼りにし、学校の英語の授業を軽視するようになってしまうでしょう。

他にも、受験の機会が複数回あるというのも、高校の教育現場を混乱させると思います。

 
前述のとおり、大学入試で実際に使われるスコアを申請できるのは受験年度に最大2回だと定められていますが、検定試験は7種類あり、それぞれバラバラに試験日が設定されています。
 
高校三年生を担当する教員は、ほぼ常に検定試験の日にちを意識して指導に当たらなければならなくなります。
 
学校行事や部活動に、多くの生徒が真剣に取り組まなくなってしまうのではないでしょうか。
 
教員も、そうなってしまうでしょう。

英語入試改革が拙速に進められる背景には、かつて私が拙著『英語化は愚民化』(集英社新書、2015年)で指摘したように、教育的観点というよりも、ビジネスの現場で即戦力となるような人材を育ててほしいという経済界の意向が強くあるといっていいでしょう。

しかし、経済界の狭い、短期的な視野で考えれば、教育現場は大混乱に陥ります。

改めて、「日本人が英語を学ぶ意義とは何か」「将来の日本をどのような国にしたいのか」「将来の世界はどのようなものになるだろうか、

 
どのようにしていくべきか」といった大きな問題意識のなかで、英語教育のあり方、そして大学入試のあり方を考えていくべきなのです。

長々と失礼しますた…
<(_ _)>

/// 編集後記 ///

私も経験しました。
受験地まで遠い問題。

私の実家は兵庫県の姫路から電車で
1時間ほどの山の中なのですが…
(まだ電車があるだけありがたい)
受験前に模擬試験を受けようと思ったら
近くて姫路、最悪の場合は神戸まで、
数時間かけて行かないといけない…

これは田舎もんにとっては単なる宿命だ
と思っていましたが…

英語試験の変更は経済界の意向が強く
はたらいているとのこと…

地方の受験生に、さらに辛い状況が
待ち構えているとは…(泣)

「新」経世済民新聞事務局
 ー小坂紗代

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