過剰な「観光依存脳」が地域を、地域経済を破壊する :From 室伏謙一 

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『三橋貴明の「新」経世済民新聞』
 2019年10月1日

 過剰な「観光依存脳」が
 地域を、地域経済を破壊する

 From 室伏謙一
  @政策コンサルタント
   /室伏政策研究室代表

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 最近「オーバーツーリズム」が関心を集めています。
 
オーバーツーリズム」とは、簡単に言えばある観光地に観光客が来すぎて、その地域の住民の日常生活の障害になったり、ゴミ問題等の社会的に問題を発生させたり、文化財等の保護や維持管理に支障を来したりしている状況の総称です。
 
日本で言えば京都がその代表格でしょうか。
 
そんなもので代表格と言われたくはないと思いますが。)

 京都におけるオーバーツーリズムの典型例といえば、まずはバスが大きなキャリーバッグを持った外国人観光客で溢れかえり、京都の一般市民がなかなか乗車できないことがありますね。

 
その他にも、桂川の渡月橋の周辺は外国人観光客で溢れかえっているのみならず、外国人観光客をターゲットにした新たな店舗が出店して、そうした店ばかりの外国人観光客街になってしまっていることもあります。
 
外国人観光客がいっぱいでお店は儲かっていいじゃないか!と考えてしまうそうですが、彼らは彼らのペースで動くので自動車やバスのみならず、歩行者も通行に支障をきたしていますし、ゴミ問題もありますし、そもそも新たな店舗はどこの資本なのかといった問題もあります。

 ヨーロッパでもオーバーツーリズムは以前より問題になっており、既に対応策が検討され、持続可能な観光のための指標(ETIS: European Tourism Indicators System for sustainable destination management)がEUにより作成されています。

 地元住民の生活を圧迫し、害してまで観光観光とは、頭がおかしいとしか言えませんね。

 
地元の人々の生活、生業があっての観光、その上に成り立っている観光ですからね。
 
今やお土産品程度にしか扱われなくなっているものも多い伝統工芸品についても、その土地の人々の生活と密接に関わるもの、生活の一部。
 
それを観光観光と言って人々の日常生活を破壊してしまったら、貴重な観光資源の一つでもあるその伝統工芸品が途絶えてしまうかもしれません。

 さて、そんな観光、外国人観光客をターゲットにした観光政策は、小泉政権の時から強力に推し進められるようになり、民主党政権下でも同様に推進され、安倍政権になってからはさらに強力にというより、あらゆるものがと言ってもいいぐらいに観光と結びつけられ、

 
地域再生(現政権の言葉で言えば地方創生)の鍵は観光しかない観光にあらずんば経済政策にあらずと言われんばかりの状況です。

 さらに現政権は、経済産業省を中心にとにかく新しい産業、新しい商品、新しいサービスと、バカノヒトツオボエのように唱えており、地域の経済や雇用を支えている地場産業の長年の努力や蓄積・実績は二の次三の次、その産業は10年後は生き残れないから新しいことをやれ、

 
新産業に道を譲って退場しろ、誰でもいいから事業を承継してもらって新しいことをやってもらえ、そんな方向になっています。

 そしてその新しい産業や商品、サービスといったものがほとんどすべて観光と結びつけられるようになっています。

 そうなればどうなるか、地域の経済構造、社会構造はこれまでなかった観光志向に半ば強制的に転換を余儀なくされ、元々の地場産業があったからこそ強固で持続可能であった経済・社会構造は破壊されていきます。

 
その典型例は、これは始まりは現政権下ではありませんが、東日本大震災の被災地です。
 
巨大な津波や地震により地域の基幹産業や地場産業を破壊された被災地、当然そうした産業の再建に早急に着手しなければいけなかったわけですが、それには時間がかかります。
 
ならば手っ取り早く日銭を稼ごう!といった感じの認識で進められたのが被災地観光でした。
 
もちろんそれを推し進めようとしたのは政府です。
 
被災地の産品を買って、被災地に観光に行ってお金を落として被災地を支援しよう、そんな空気が日本中に満ちていましたね。
 
観光なんてやったことがない地域の人たちが、外からやってきたコンサルタント等の指導も受けながら見よう見まねで観光に取り組みました。
 
観光というより支援の意味合いが強かったところ、多くの人が訪れたようです。

 しかし、震災から年月が経ち、被災地の復興が進めば被災地観光の観光客は当然減っていきます。

 
物も売れなくなります。
 
そもそも観光が地域の産業ではなく、地域の人々も観光産業に従事したことがない人がほとんどなわけです、観光目的より支援目的で訪れていた人がほとんどなわけですから、当然といえば当然です。
 
ところが、地域の産業の再建を優先した地域は別段、それよりも観光への依存を強めてしまった地域は震災以前への回帰は難しくなります。
 
それでも国は観光を、民主党政権下よりもより強力に政策的に進めていますから、そこから抜け出せなくなっていく・・・
 
更に、国の負担で派遣された怪しげなコンサルタントや専門家に振り回され、追加料金で吸い取られ・・・疲弊への負のスパイラルは止まるところを知りません・・・

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