RPE: 日本人の勝算 北野幸伯

★日本人の勝算

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では、本題。

ベストセラー、

●日本人の勝算 ~ 大変革時代の生存戦略

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を読みました。

著者のデービット・アトキンソンの経歴は、とてもユニー
クです。

1965年イギリス生まれ。

日本在住30年。

オックスフォード大学「日本学」専攻。

裏千家茶名「宗真」拝受。

1992年ゴールドマン・サックス入社。

金融調査室長として日本の不良債権の実態を暴くレポート
を発表し、注目を集める。

2006年に共同出資者となるが、マネーゲームを達観するに
至り2007年に退社。

2009年創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛け
る小西美術工藝社に入社、2011年同会長兼社長に就任。

2017年から日本政府観光局特別顧問を務める。>

日本在住30年というと、1989年ですね。

バブル絶頂と、その後の「暗黒の30年」を日本で見つづけてきた。

長年ゴールドマンサックスで勤務されたので、金融のプロ。

こんなデービッド・アトキンソンさんは、日本復活のため
に何が必要だと考えておられるのでしょうか?

▼日本の根本問題

アトキンソンさんが考える「日本の根本問題」は、「人口減少」です。

彼は、国連のデータを基に、2016年と2060年の人口差を予
測しました。

24pに出てくる予測だと

アメリカの人口は2060年、2016年比で25%増えます。

カナダは、25.5%増加。

イギリスは、17.4%増えます。

フランスは、11.3%増える。

インドは、なんと31.8%の増加。

今度は、減少する方を見てみましょう。

中国は、9%の減少。

一人っ子政策の副作用が出てきます。

ドイツは、マイナス12.8%。

イタリアは、マイナス8.5%。

最近出生率が1を切ったといわれる韓国は、マイナス5.6%。

ロシアは、マイナス13.4%。

ロシアは、政策で出生率を1.16から1.75まで上げることに
成功したのですが、また下がるのでしょうか。

スペインは、マイナス7%。

日本は?

2060年の人口は、2016年比でどうなるのでしょうか?

なんとなく「減る」と思っているでしょうが。

何%減る???

答えを紙に書いてから、先に進んでください。

答えは・・・・・・・・・・・・・・・・。

マイナス32.1%!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

日本は、「人口減少率」で、ダントツ世界一です。

それで、親日のルトワックさんも、

日本が嫌いと思われるジム・ロジャーズさんも、

口をそろえて、

「少子化、人口減少が日本最大の問題だ!」

といいます。

最大の問題は、日本政府と政治家さんが全然気にしていな
いことでしょう。

自民党は、「アメリカ製憲法を少しいじって歴史に名を残
したい」などと考えている。

野党は、「桜の会」のことしか考えていないようです。

(ちなみに、アトキンソンの話は、「人口減少は、不可避
な流れ」という前提で進んでいきます。

ですが、私は、「移民に頼らずとも人口を増やす方法はあ
る」と考えています。

その方法を知りたい方は、

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▼労働者の質が高く、生産性が低い日本

この本の中で、アトキンソンさんは、人口減少に負けない
国づくりの方法を、いろいろと提示しています。

全部書くスペースはないですし、あまりにもネタバレしす
ぎになるのも問題でしょう。

そこで、私が「面白い」と思った点を、少しあげておきま
す。

アトキンソンさんは、「日本人の人材の質」が非常に高い
ことに注目しました。

World Economic Forum2016 のデータによると、OECD諸国
の「人材の質」ランキングで、

日本は世界4位です。

ちなみに、1位は私が08年から絶賛しつづけている国フィン
ランド。

2位はノルウェー、3位はスイスです。

ちなみにアメリカは24位、韓国は32位。

つまり、「日本人は優秀だ」と。

一方で、日本の労働生産性が、あまりにも低いことにも注
目しています。

世界銀行のデータ(2016年)によると、

日本の労働生産性は、世界29位!

ちなみに、1位はルクセンブルグ。

4位シンガポール、9位アメリカ、19位イタリア、25位スペ
イン。

「なぜ日本の人材の質は高いのに、労働生産性はこんなに
低いのだろう?」

という問題意識がでてきました。

▼最低賃金が異常に低い日本

さらに気がついたのは、日本の最低賃金が「低すぎる」と
いうこと。

189pに出ている表(最低賃金、購買力平価、米ドル)によ
ると、

日本の最低賃金は、6.5ドル。

これは、韓国の7.36ドルより低い。

台湾の8.75ドルよりも低い。

ちなみに、アメリカは8.5ドル、イギリスは9.38ドル、ド
イツは10.56ドル、フランスは11.03ドル です。

▼最低賃金を上げると、生産性が上がる

アトキンソンさんは、

「最低賃金を上げると、生産性も上がる」

というはっきりとした傾向があることを指摘されています。

<欧州を中心に、生産性を向上させる効果がもっとも期待
され、

実施されている経済政策は、継続的な最低賃金の引き上げ
です。

最低賃金と生産性の間に、強い相関性が認められるからで
す。>(168p)

彼は、成功例としてイギリスをあげています。

イギリスには1999年まで、「最低賃金」がありませんでし
た。

その後、継続的に最低賃金を引き上げた。

2000年2.78%。
2001年10.81%。
2002年2.44%。
2003年7.14%。
2004年7.78%。
2005年4.12%。
2006年5.94%。
2007年3.18%。
2008年3.8%。
2009年1.22%。
2010年2.24%。
2011年2.53%。
2012年1.81%。
2013年1.94%。
2014年3.01%。
2015年3.08%。
2016年7.46%。
2017年4.17%。
2018年4.4%

そして、ここ20年の最低賃金の平均引き上げ率は、年4.17
%!!!

本当に驚きました。

こんなことをしたら、「倒産が激増するのではないか?」
と普通は思いますよね?

私もそう思いました。

アトキンソンさんは、「最低賃金引き上げで生産性があが
る6つの理由」を記しています。

1、もっとも生産性の低い企業をターゲットにできる

考えてみると、「最低賃金を上げられて困る企業」は、現
在「最低賃金で労働者を雇っている会社」です。

労働者の立場からいえば、「安くこきつかう会社」という
ことでしょう。

こういう企業に賃上げを強制し、生産性を上げさせる効果
がある。

2、効果は上に波及する

3、消費への影響が大きい

今最低賃金で働いている人たちの所得が増えるので、その
増加分は、ほとんど消費に向かうでしょう。

4、雇用を増やすことも可能

5、労働組合の弱体化

6、労働生産性向上を強制できる

▼イギリスでの検証結果は?

年平均4%以上の最低賃金引き上げを20年にわたってつづ
けたイギリス。

どういう結果になったのでしょうか?

倒産と失業者が激増したのでしょうか?

アトキンソンさんは、「その後のイギリス」について書い
ています。

1、失業への影響はなかった

イギリスの最低賃金は、1999年の3.6ポンドから2018年
の7.83ポンドまで2.2倍引き上げられた。

2018年の失業率は、4%。

これは。1975年以降でもっとも低い数字。

つまり、「最低賃金を上げると失業が増える」ことはなか
った。

2、サービス業がより影響を受けた

サービス業では、失業が増えず、生産性は1998年から2000
年の間に11%向上した。

3、生産性が向上した

4、生産性の高い企業ほど雇用を増やした

別の場所で、アトキンソンさんは、最低賃金引上げの重要
な効果について触れています。

最低賃金引き上げで、

「格差が縮小した」

<先進国では格差が拡大している国がほとんどですが、

イギリスはその中で格差が縮小している数少ない国の1つ
になっています。>(198p)

▼ていうか、韓国はダメだったよね?

最低賃金引上げというと、真っ先に思い浮かぶのは、文在
寅さんの顔でしょう?

アトキンソンさんも、「韓国の失敗例」について触れてい
ます。

<日本の最低賃金を引き上げるべきだと主張すると、

必ず反論が沸き上がります。

その反論の根拠として使われるのが、

韓国で2018年1月に実施された16%の引き上げです。

たしかに韓国の場合、失業者の増加など、引き上げによる
悪影響も確認できます。

しかし、韓国で悪影響が出たのは、引き上げ方に問題があ
ったからです。>(187~188p)

どんな問題があったのでしょうか?

<韓国で一気に16%も引き上げるのは、さすがに極端すぎ
ました。>(188p)

まさに「過ぎたるは及ばざるがごとし」ですね。

しかし、アトキンソンさんは、韓国の失敗例がすべてでは
ないとおっしゃいます。

<日本の人材評価は世界第4位なのに対し、

韓国は第32位です。

たしかに、韓国で日本より高い最低賃金を設定すると、

影響が出るのは避けられないでしょう。

しかし、人材評価第32位の国の例を、

都合よく世界第4位の国に当てはめて使うというのはいか
がなものかと思います。>(188p)

▼人口削減問題 = 財政問題

アトキンソンさんは、

・日本の根本問題は、人口減少問題だ

と指摘しました。

この問題を解決するためには、

・生産性を上げなければならない

生産性を上げるためには、

・最低賃金を継続的に上げる必要がある。

(ここでは、一つの方策だけ書いていますが、本の中には
さまざまな方法が記されています。)

ところで、「人口減少」は、なぜ問題なのでしょうか?

<これからは高齢化によって、無職の人が激増します。

彼らの年金を払う予算が入ります。

高齢者ですから、医療負担も大きく、その財源も必要です。

しかし、給料をもらっている世代は激減します。

となると、その税負担のために生産年齢人口の給料を増や
す必要があります。

所得増加を実現するには、生産性向上が必要条件です。

これは大きな政策転換となります。>(213p)

日本の財政が破綻しないためにはどれだけ生産性をあげな
ければならないのでしょうか?

<人口が減る分を補って、

経済を縮小させないためには、

どれだけ生産性を向上させなくてはいけないのかを計算す
ることができます。

なんと毎年1.29%ずつ、生産性を向上させる必要があるの
です。>(216p)

これって、どうなのでしょうか?

<世界ではこの50年間、毎年1.8%ずつ生産性が向上してき
ています。>(216p)

<これはかなり現実的だと思います。>(同上)

というわけで、今回はデービッド・アトキンソンの本をご
紹介させていただきました。

日本の根本問題は、人口減少。

それで財政が破綻する。

これを回避するためには、生産性を向上させなければなら
ない。

生産性を向上させるために、最低賃金を継続的に引き上げ
よとのことでした。

もちろん、ここで書いたことは、本のごくごく一部です。

日本在住30年。

日本を間違いなく愛している元ゴールドマン・サックス超
エリートの、「日本復活論」。

是非ご一読ください。

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