【田村秀男のお金は知っている】無駄ガネを今回も…安倍政権は成長無縁の「泥縄式経済対策」を繰り返すのか

【田村秀男のお金は知っている】

無駄ガネを今回も…安倍政権は成長無縁の「泥縄式経済対策」を繰り返すのか

安倍晋三政権は補正予算など経済対策の検討を急いでいるが、いつもの泥縄式、緊縮財政路線上での単発的財政出動であり、先行きの経済成長にはつながりそうにない。

経済再生は、成長分野に先行投資することで可能になるが、政府は平時の感覚で民間任せにする。

国内の慢性デフレとゼロ成長に見切りを付けた産業界は海外投資に重点をシフトさせている現実を、政府は無視する。

最近数年間、企業の内部留保は年間で40兆円以上増えても名目国内総生産(GDP)は5兆円程度しか増えなかった。

対外直接投資は今年になって急増し、9月までの1年間で8・8兆円増えたのに、GDPに反映する国内向けの設備投資増は4兆円にとどまる。

デフレから脱出し、内需の成長が定着するまでは政府が財政資金をコンスタントに活用するしかない。

だが、政府は飽きもせず「民間主導」の掛け声のみを発し、緊縮財政と消費税増税による内需抑圧に徹する。

空疎な政府「成長政策」を象徴するのが、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の備蓄事業を進める京都大に対する政府支援打ち切り方針だ。

政府はiPS再生医療が実用化、事業化の段階に入りつつあると判断し、「研究開発は民間資金を使え」という考えなのだ。

政府方針が山中伸弥教授に伝えられた後の11月、iPS細胞による臓器再生に挑戦する京都大学系ベンチャー企業の若手リーダーが筆者を訪ねてきた。

「田村さん。民間資金は簡単には集まりません。臨床試験に必要な1000万円のファンドを立ち上げるのも大変です」と嘆く。

かのソフトバンクグループの10兆円ファンドに比べれば、すずめの涙のような極小のファンドの立ち上げすらままならない。

 国内の製薬など大企業はどうか、と聞くと、米欧の同種のベンチャーに投資するので乗ってこないという。

製薬大手の中にはトップは欧米系、社内公用語は英語というふうに、グローバリゼーションに徹している。

 

 

他方で、にわか景気対策だけは財政資金を大盤振るまいする。

与党は10兆円規模の経済対策を求めており、安倍政権も前向きのようだ。

その場しのぎ、一過性の大型補正予算であれば、緊縮一本やりの財務官僚も折れてくるので、

政治家のほうも「してやったり」という自己満足に浸る。

結果はどうか。経済は成長するのか?

 

グラフは、2011年度以来の政府一般会計歳出の当初予算と決算の差額と名目GDPの増減および実質経済成長率の推移を比較している。

当初と決算の差額の増加分の大半は補正による。

12、13年度は大型補正による経済対策が実行されたのだが、合わせて25兆円規模の財政上積みにもかかわらず、名目GDPは13兆円しか増えていない。

消費税率を3%の大幅で引き上げると実質成長率はマイナスに落ち込み、その後は1%前後の成長率が続く。

将来の経済成長に結びつかない無駄ガネを今回もばらまくのだろうか。

(産経新聞特別記者)

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