■■国際派日本人養成講座■■ 奪還~自衛隊特殊部隊による拉致被害者救出

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CommonSense:奪還~自衛隊特殊部隊による拉致被害者救出

 6名救出のために、なぜその何倍もの犠牲者を出すのか。国家の意思が問われた。

 ■1.北朝鮮でクーデター発生!?

 正面のスクリーンには、巨大な建造物の天井がふっとび、煙があがっている写真が投影されていました。

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 こ、この画像は本日8月5日の11:32の衛星画像です。

場所は、NK(エヌケイ:北朝鮮)平壌(ヘイジョウ)になります。

この建物には、さ、撮影時、トップの総書記の他、陸海空及び戦略ロケット軍の上層部、朝鮮労働党、朝鮮社会民主党のトップ・クラス、要するにエヌケイの錚々(そうそう)たるメンバーが一堂に会していたと分析されております。

これが事故なのか、空爆なのか、不明ですが、非常に多くの死傷者が出ていると思われます。

ち、ちなみに、朝鮮中央通信、朝鮮中央テレビ、労働新聞いずれも、報道は一切しておりません。以上です。
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 海上自衛隊の特別警備隊の全隊員を集めて、運用班長が緊張して言葉をつかえさせながら、説明しました。

特別警備隊とは、脅威度の高い船舶の武装解除など、危険な任務をこなす高度の訓練を受けた特殊部隊です。

 特殊部隊の隊長は、隊員に口外を厳禁し、「これから政府の方針が決まり、それによって、いつどんな任務が来るか分からない、当分の間、緊張感を持って生活しろ」と命じて、会合を終えました。

■2.自衛隊に『奪還してみせる』と言わせてしまえば何とかなる

 翌8月6日、東京の首相官邸。

緊急事態大臣会合の1時間前、官房長官の手代木(てしろぎ)と首相の葛田(くずた)が二人っきりで会っていました。官房長官が言います。

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 たった今、米国より重大な情報が提供された。

クーデターを起こした可能性のある北朝鮮軍部がミサイル発射を企図していて、その発射基地の近傍に日本人拉致被害者6名が居住する施設があるというんだ。
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「陰の総理」とあだ名される手代木と、同い年で優柔不断ながら父親の七光りで総理大臣となった葛田が話していると、どちらが総理だか分かりません。

 葛田総理の支持率はジリ貧で、このままでは3か月後の衆院選までに党内から葛田おろしが始まるのは必至。

その急先鋒は外務大臣の海原で、手代木は政権の生き残りをかけた逆転勝負に出るべきだ、と説きます。

それは自衛隊を投入して、邦人奪還を狙う、という一手でした。

「自衛隊に犠牲者が出ればどうなる?」と総理が聞くと、「そりゃ、大騒ぎになる。しかし、自衛隊に『奪還してみせる』と言わせてしまえば、何とかなる。

拉致被害者を一人でも連れ戻せば、命を投げ打って救出した自衛隊という構図ができる」

 外務省の官僚たちは当然、そんな危ない真似には反対するが、その反対を抑えられなかった海原外務大臣は役立たずとなる。

「腹を括(くく)れよ。我々が生き残るには、それしかないんだ」と手代木は言い切りました。

■3.「人間の盾」にされた拉致被害者

 8月7日、緊急事態大臣会合が始まりました。手代木官房長官は米国からの情報として、

・ムスダンリにあるミサイル発射基地が、クーデターを起こしたと思われる軍部が抑えていて、米国へのミサイル発射を企図している可能性がある

・発射基地の近傍に日本人拉致被害者6名を居住させ「人間の盾」にしている

・米国は発射の兆候があれば、自衛のためのピンポイント爆撃をする。

その場合、拉致被害者が巻き込まれるのは必至。

 と説明しました。

 出席していた4名の自衛隊幹部の顔色が変わっりました。

「まさかこの状況で、自衛隊に救出してこいというのではないだろうな」。

ことが起こると国民の期待を一身に受ける一方で、欠陥だらけの法律に縛られ、法を守れば役立たずと言われ、法を破れば暴力装置と言われるのが、自衛隊の常でした。

■4.「自国民は、自国で救う。当たり前のことじゃないか」

 自衛隊幹部の懸念通り、手代木は「今日の本題は、この6名を邦人救出の枠組みで救出できないかという話だ」と切り出しました。

代木が内閣法制長官に法的な問題点を聞くと、こう返答がありました。
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 相手国による秩序の維持と、相手国の同意が必要と規定されていますが、今の状況で北朝鮮の治安がいいとはとても思えませんし、同意するとも考えられません。
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「法的な問題は、内閣法制局長官と私がこの後、詰めます」と手代木は言ってから「自衛隊としては問題はあるかね」と水を向けました。

朝比奈統合幕僚長は覚悟を述べました。
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 制服組を代表致しまして、それが我が国の意思であるならば、最高指揮官たる内閣総理大臣の命とあれば、我々は全力で任務遂行に当たるのみです。
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 そこに海原外務大臣が割って入りました。
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 ちょっと待って下さい。なぜ、そんな無理をするのですか? 

アメリカが爆撃をするというから問題なんじゃないんですか? 

アメリカの責任において、爆撃前に米軍の特殊部隊でも投入して6名を救出してもらえば済む話じゃないですか?
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 手代木が大きな声で抑えつけました。
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 自国民は、自国で守る。自国で救う。当たり前のことじゃないか。

そこまでアメリカが日本のために自身の血を流すと思っているのか
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 手代木は防衛省に具体的な作戦計画を立てるよう指示しました。

■5.「曲解も曲解、限度を超えている」

 翌8月8日朝9時からの緊急事態大臣会合は、朝比奈統合幕僚長の作戦説明から始まりました。

海上自衛隊はヘリ空母『いずも』、イージス艦2隻、陸上自衛隊は輸送ヘリ5機等々、合計千名以上もの大規模作戦とされました。

 次に内閣法制局長官が、法的な制約を回避する案を述べました。

朝鮮がクーデター下で正当な判断が出来ないとすれば、韓国は北朝鮮も自国の領土だと宣言しているので、韓国政府に治安も維持していると言わせ、日本政府の邦人救出作戦に同意させれば、法的な問題はクリアできる、と報告しました。

 海原外務大臣が色をなして「バカなこと言いなさんな。曲解も曲解、限度を超えている」と反論しました。

しかし、手代木は「我々は法の範疇(はんちゅう)で解決する努力を全力でしているんだ。

やる、やらないの議論は必要ない。

どうすれば救出できるかを議論するんだ」と外務大臣を抑えつけました。

■6.ダントツの「おバカさん」を見つけ出しました

 あとは自衛隊に犠牲者が出た場合に備えて、自衛隊の中から『奪回してみせる』と言い切る「おバカさん」が必要でした。

手代木は、ダントツの「おバカさん」を見つけ出しました。

陸海の特殊部隊の指揮官、天道剣一1等陸佐と藤井義貴3等海佐です。

 二人を含めて、防衛大臣、統合幕僚長、陸海空幕僚長を集めた会議がその日の深夜開かれました。

今回は葛田総理が口火を切りました

「私は内閣総理大臣として、大きな決断をしました。

自衛隊を投入し、ムスダンリの拉致被害者6名を救出します」

 しかし、外務省官僚全員が、パスポートも持たない拉致被害者の身元確認のために、自衛隊とともに現地に行くことを拒否したとの報告があがっていました。

クーデターを起こした北朝鮮軍部が抑えているミサイル基地が安全であるわけがないからです。

無理押しをすれば、彼らは作戦計画をマスコミにリークし、自衛隊法違反を内閣が主導した、と大騒ぎになるかもしれません。

 そんな状況を知った朝比奈統合幕僚長は、「外務省が絡まず、防衛省だけでやる・・・。

そんなことをいきなり言われましてもね」と急に腰砕けになってしまいました。

法的に在外邦人の救出は外務大臣の依頼があった場合にのみ行えることになっています。

その外務大臣からハシゴをはずされたら、自衛隊が規則を無視した行動をとったということになってしまいます。

■7.「そんなもん、簡単ですよ」

 困った手代木は藤井義貴3等海佐に「特殊部隊はどうなんだ?」と、水を向けました。

「そんなもん、簡単ですよ」と、藤井3佐は期待以上の「おバカさん」ぶりを発揮しました。

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 行って、邪魔する奴を斥(しりぞ)けて、その6名が本物か確認して、連れて帰って来ればいいだけじゃないですか。

行き方はいくらでもあるし、確認する方法も連れて帰って来る方法もたくさんありますよ。

そのうちのどれが最もリスクが少ないかを予想して、決めるだけです。
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 あまりにも藤井3佐があっさり言い切ったので、手代木は「我々は何をすればいいんだ?」と質問しました。

藤井3佐は手代木の目をまっすぐに見つめて言いました。
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 救出する人数の5倍から10倍の特殊部隊員が命を落とす覚悟の作戦になります。

それでよろしければ、6名無傷で連れ戻してみせます。
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 全員が息を呑みました。

「30人から60人が死亡するのか?」と蚊の鳴くような声で葛田総理が口元を震わせながら言いました。
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 北朝鮮から武力によって拉致被害者を救出する。

それを決断するということは、60基の棺桶の前に立つ覚悟があるのかということです。

60のうちのひとつは私のものですがね。

死亡した60名の奥さん、子供たち、ご両親、ずらりと並ぶことになります。
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 下を向く総理を横目に、手代木は強い口調で命じました。

「それを決断することこそ政治家の仕事であり役割だ。

今、6名無傷で連れ戻してみせると言ったな。だったら、早く作戦を立てろ」

■8.なぜ、多くの犠牲を払ってでも拉致被害者を救出するのか

 それから5時間後、翌朝8時から、同じメンバーに、天道1佐が作戦の説明をしました。

しかし、「作戦ではシナリオ通りいかない事が起こるので、総理ご自身にその場で即決していただかねばなりません」と釘を刺しました。

「例を挙げてくれ」と手代木が聞くと、「たとえば、北朝鮮の人と結婚している日本人がいて、旦那や子供と一緒じゃなければ帰らないと言われたら」と天道が言うと、葛田はうなだれ、手代木も目をそらしてしまいました。
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 作戦というものは計画通りには絶対にいかないのです。

変更に次ぐ変更がなされます。しかも、それは現場の隊員が行わなければならないのです。

軍事作戦ですから、直接人命が関わる変更を、実弾が飛びかう中でやり続けるのが特殊戦です。

彼らが悩み、迷った時、必ず立ち返るのが作戦の目的なのです。

回で言えば、『なぜ、多くの犠牲を払ってでも拉致被害者を救出するのか』、それを達成するために最も適切な方法を現場で判断するわけです。

それがなければ、一切の変更ができません。それはそのまま全滅を意味します。
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「まさか、党のためとか、政権のためとか、どこかの大統領に言われたとかでは・・・」と藤井が口を挟むと、図星を指されたのか、手代木は声を荒げました。

「君は黙っていろ。天童君、君だったら、部下たちに、なんと言って出撃させるんだ?」と逆に聞きました。
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 結論から申し上げれば、『我が国の国家理念を貫くため』です。

れ以外のはずがないのです。

なぜなら軍事作戦は、国家がその発動を決意し、国家がその発動を命じて初めて行われるものだからです

だからその目的とするところは、国家が存在する理由、すなわち国家理念を貫くため以外であってはならないのです。

 しかし、しかし、本当に我々が確認させていただきたいのは、そこに強い意志が存在するかどうかなんです。

共通の国家理念を追い求めている同志、同胞たる自国民が連れ去られたのだから、何がなんでも取り戻す。

ソロバン勘定とは別次元、いかなる犠牲を払ってでも救い出す。

その強い意志を総理自身がお持ちで、だから我々に”言って来い”と命じていらっしゃるのかどうかです。
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 手代木の目は爛々と光り、何か自信さえもみなぎり始めました。

首相、どうしたんです。自国民を何がなんでも救出する。言って下さい。」 

堪りかねた葛田総理は「いいのか、これで」と、手代木の耳元でささやきました。

「パーフェクトだ。『君たちを信じる』と言ってくれ」

 葛田は、まるで自分が決断したかのようにきっぱりと言いました。

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 わかった。君たちを信じよう。共通の国家理念を追い求める同志、同胞たる自国民を見殺しにはしない。なぜなら、それこそが国家理念だからだ。
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 こうして、拉致被害者救出作戦は発動されました。

それがいかなる展開をしていくのか、またその過程で葛田総理や手代木官房長官は本当に「いかなる犠牲を払ってでも救い出す」という強い意志を持ち続けることが出来るのか。

 この先は、ベストセラー『邦人奪還:自衛隊特殊部隊が動くとき』をご覧下さい。

・伊藤祐靖『邦人奪還:自衛隊特殊部隊が動くとき』★★★、新潮社、R02
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4103519924/japanontheg01-22/

(文責 伊勢雅臣)

■リンク■

a.JOG(080)ミラー大尉の残したもの
話題作「プライベート・ライアン」などに見る自己犠牲の精神。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h11_1/jog080.html

 

 

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