「過剰自粛」で経済下落~ファクターXを経済に活かせなかった日本の悲劇~From 藤井聡

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『三橋貴明の「新」経世済民新聞』
 2020年8月28日

 「過剰自粛」で経済下落
~ファクターXを経済に
活かせなかった日本の悲劇~

 From 藤井聡
  @京都大学大学院教授

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世界中に新型コロナウイルスが蔓延した今年の春先。そのパンデミックに対して、

各国がそれぞれの対策を図りました。

8月になりその「結果」がさまざまなデータで明らかにされ始めました。

そんなデータに基づいてまとめた一つのグラフがコチラ。

https://www.facebook.com/photo?fbid=2769792269788365&set=a.236228089811475

このグラフは、東アジアと主要な欧米諸国の100万人あたりの死者数」と

「4-6月期のGDP下落率」の関係を示したものですが、実に多くの「感染症対策の真実」を示唆してくれています。

今回は、このグラフから読み取れることをご紹介したいと思います。

(1)アジア諸国の死亡率は極端に低い

まず、このグラフで明らかなのは、東アジア地域の死亡率の低さと、欧米における死亡率の高さ、です。

中国、韓国、台湾、日本の東アジア四カ国の死者数はいずれも100万人中10人未満。

一方で、ドイツ、アメリカ、スウェーデン、イギリス、フランスといった欧米諸国は100万人中100人以上。

特に、ドイツ以外のこれらの欧米諸国はいずれも500人前後以上となっています。

つまり、(ここでは示していませんが、その他のアジア諸国の死亡率も東アジア諸国とさして変わらない水準である事を踏まえると)アジア諸国の死亡率は、欧米の10分の1~100分の1程度の水準に収まっているのです

感染症対策が各国によってバラバラであることを考えると、どういう訳かアジアの死亡率が低いのは、対策の相違というよりは、地域的な相違が濃厚にあることが考えられます。

なお、こうしたアジアにおける何らかの免疫力の高さの原因は、しばしば「ファクターX」と呼ばれたりすることは、多くの読者もご存じだと思います。

(2)日本はファクターXがあったのに激しく自粛し、経済下落はアジア中最悪となった

さて、そのアジアだけに着目すると、日本が最も死亡率が多い事がわかります。

しかも、経済下落率も最も高いこともわかります。

韓国は-3.3%、台湾はほぼ0%、中国に至ってはプラス成長の中、日本の下落率は-7.8%と、韓国の二倍以上の水準に達しているわけです

その背景にあるいはもちろん、「自粛率」の高さ。

世界各国の移動量の推移をGoogleが公表しているのですが(World Mobility Data)

それによりますと、(中国の移動データは入手できていないのですが)、4月~6月期の移動量の平均下落率は、日本において38%と約4割という水準。
この移動の縮小率は(上記データに基づくと)、アメリカと同程度であると同時に、ドイツよりも「激しい」水準。

つまり我が国は、ロックダウンをしていないとはいえ、国民の自粛によって、都市活動はロックダウンした国と同程度に活動が抑制されていたのです。

一方で、台湾の移動抑制量は我が国の半分以下の18%、韓国に至っては7%と五分の一以下で抑えられています。

つまり、「ファクターX」のおかげで死者数が限定的であった日本以外の東アジア諸国においては、その「ファクターX」の恩恵を十分に活用するかたちで、自粛量を大幅に抑制したのです。

その一方で、我が国はそのファクターXという好条件を活用することなく、欧米と同様、あるいは、それに準ずる程度の自粛による活動抑制を行い、その結果、東アジアの中で最も経済が冷え込むことになったのです

そしてその水準は、後に述べる欧米各国の下落レベルに至ってしまったのです)。

(3)日本はアジアの中で最も激しく自粛したのに、死亡率は最も高かった

では、その自粛によって死者数は低く抑えられたのかというと――先にも述べたように必ずしもそうとは言えません。

なんと言っても、もっと自粛しなかった韓国や台湾より、死者数が高い水準になってしまっているのです。

ちなみに、欧米のデータに着目しても、ロックダウンをしたから死者が減った、という結論は、導き出せそうにありません。

なぜなら、移動量を3割程度しか抑制しなかったスウェーデンと、7~8割程度の移動を抑制したイギリスやフランス、イタリアとで、死亡率はほとんど変わらなかったからです。

というよりむしろ、イタリアとイギリスは、スウェーデンの2倍以上の行動自粛をしていたのに、死亡率はスウェーデンよりも高い水準だったのです。

つまり、自粛が死者数抑制に効果が無いと言うかどうかはさておき、少なくとも激しい自粛、ロックダウンが死者数を抑制するという効果が明確だとは、到底言えそうにないわけです。

(4)結論:日本はファクターXを活用し損ない、効果があるか無いか不明確な準ロックダウンを行い、経済被害を拡大させた

以上の議論を纏めると、日本は折角の「ファクターX」の「幸運」を活用し損ない、他の東アジアの国々は激しく行わなかった「ロックダウン」に準ずる活動制限を欧米レベルでやってしまった。

その結果、死亡者が減ったのかどうかは不透明だが、少なくとも、欧米レベルでの経済下落に見舞われることになった―――ということになります。

さらに当方として残念なのは、ファクターXの存在は3月下旬から4月上旬の段階で、それを示唆するデータが既に存在していたという点……。

https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/2401031323331130

だから、例えばこの当方のSNSで紹介したデータを政府、あるいは、政府系の専門家達が重視していれば(もちろん、安全側に対策を行うことは必要ではありますが、それでもなお)、

日本はもっと「かしこく」、過剰自粛を要請しないままに感染症対策ができたこともあった筈なのです

(実際、当方はウイルス学の宮沢先生とこうしたデータに基づいて、「一律自粛」でなく「リスクの高い行動の自粛だけ」を要請する、現在我々が「半自粛」と命名している行動方針を、4月上旬の段階で提案していたのです)。
https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20200604/
いずれにしても、自粛も適材適所に使うことも必要ですし、その場合に補償を行うことは必須でしょう(例えば、オーストラリアは、そのおかげで経済被害を軽減できている可能性があります)が、だからといって(以上の分析が示すように)あまりに激しい自粛を行うと、

(感染症対策としての効果が不明確ではあるが)経済が激しく傷付くことは明確なのです。

今後秋から冬にかけて感染がまた拡大するような事があったとき、かつてのように「ファクターX」の存在を無視した過剰な全面的自粛を要請することなく、こうした検証結果を踏まえた、

より副作用の少ない、そしてより効果的な対策を政府が講ずることを、心から祈念したいと思います。

追申:

平常時の日本は、「ファクターX」のためにコロナに対する強靱性があるように見えます。
しかし、「大災害」が起こった折りには、衛生環境が全て破壊され、ファクターXの恩恵が全て消し飛び、欧米のように感染爆発するリスクが考えられます……この問題に対する備えを、
今から始めておかなければ、間に合わなくなります。
『感染列島を大災害が襲う~「衛生」列島改造論 序説~』
https://foomii.com/00178/2020082217150770005

/// 事務局より ///

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